40歳、韓国でオンマになりました/木下美絵 第7回 異国でつながる(仕事文脈vol.23)

韓国に住み始めて早いもので20年近くになる。が、正直なところ、日本が恋しくて仕方ない、日本語で話せる友人がほしい、と思ったことは数えるほどしかない。仕事に没頭していて忙しかったのもあるし、家族(韓国人の夫)と過ごす時間だけで十分だったからだ。かつて職場の関係で「県人会」(同郷やその土地にゆかりのある人たちで構成される親睦会。駐在員などが主なメンバー)に顔を出していた時期もあったが、ソウルから近郊の京畿道(キョンギド)に引っ越し、個人で仕事をするようになってからは全く行かなくなった。

そんなわけで基本、オフラインの人間関係は韓国人の家族・友人・取引先のみだった私だが、数年前、あるきっかけで日本出身のご近所さんができた。娘を出産後、そのつながりはみるみる広がり総勢5人に。今年そのうちの1人が日本へ完全帰国したので現在は4人からなる。住んでいる街の名の頭文字を取って、ここでは「SBDクラブ」とでも名付けよう。千葉・山形・静岡・三重と出身地もバラバラだが、みんな韓国人と国際結婚し子育て中のオンマたちだ。

韓国の片田舎で、同じような境遇の日本人4人がどうやって集うことになったのか。始まりは今から5年前の2018年にさかのぼる。

ここから先は

2,128字 / 2画像

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただけましたら、記事制作やライターさんへのお礼に使わせていただきます!