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VRChatワールド『投票ダービー - Voting Derby』製作雑記

こんにちは、たぁわです。
先日VRChatで『投票ダービー - Voting Derby』(以下『投票ダービー』)というゲームワールドを公開しました。
『投票ダービー』を製作する上で私がこのワールドに込めた想いや狙いを記していこうと思います。


『投票ダービー』とは

Twitter(現:X)でのワールド公開告知ツイート

『投票ダービー』とは簡単に言うと5~16人で遊べる「駆け引き型ポイント争奪ゲームワールド」です。
ランダムに選ばれる3頭のお馬さんの中からパワーを発揮してくれそうなお馬さんに投票し、累計で最も多くのポイントを稼いだプレイヤーが勝利するゲームです。
お馬さんがパワーを発揮するには、各馬に設定された「条件」を満たす必要があります。「条件」は「得票率が40%以下」や「得票数が最も多い」など、各馬の投票数によって左右されるものが設定されています。
他のプレイヤーの投票先を推測しながら「条件」を満たせそうなお馬さんがどれなのか推理していく、といった駆け引きを醍醐味としたゲームとなっています。

最大の16人で遊んでいる様子。私がボロ負けした回。

このワールドを作る上で意識したこと

このワールドを作る上でより多くのVRChatプレイヤーに遊んでもらうために意識したことがいくつかありますが、大きく意識したのが「VRChatの環境に合わせたワールド作り」です。
このゲームは5~16人とプレイするのに必要な人数が多いため、この場合の「VRChatの環境」は以下の2点のようになると考えました。
 ・プレイヤーの出入りが激しくなる
 ・いろんな相手と遊ぶことになる
この2点に合わせたワールドを作るために
 ①プレイヤーが出入りしても遊びやすくする
 ②どんなプレイヤー相手でも楽しめるゲームにする
さらにこのゲームは私の考案したオリジナルゲームとなっているため
 ③短時間でルールを把握させる
も加えた3点を意識してワールド作りに臨みました。

『投票ダービー』最古のスクショ。この頃はまだ実時間を眺めるだけのワールドだった。
製作途中の投票パネル。今見るとだいぶちゃっちい。

①プレイヤーが出入りしても遊びやすくする

VRChatではインスタンスへのプレイヤーの出入りが頻繁におこなわれます。
遊ぶ人が全員集まってからよーいどんでゲームを開始するのは結構ハードルが高いです。なのでプレイヤーが出入りをしても遊びやすいワールド作りを意識しました。
特に後から入ってくるプレイヤー、いわゆる「LateJoiner」への対応を手厚くすることで、Joinしてきてくれたプレイヤーをワールドに定着させ、プレイヤーを確保しやすいワールドになるようにしています。
 ・プレイ人数を5~16人と幅広い人数に対応させた。
 ・1ゲームにかかる時間を10分前後に抑え、後から入ってくるプレイヤーの待ち時間を抑えた。
 ・後から入ってきたプレイヤーにもゲームの状態をできるだけ同期させ、終了時刻などを含めたスケジュールも表記することで待ち時間を退屈させないようにした。

投票時間1:00だと1ゲーム12分くらい。0:30だと1ゲーム8分くらい。
このゲームはまだ序盤だがあと5分くらいで終わるようだ。

②どんなプレイヤー相手でも楽しめるゲームにする

このゲームはプレイするのに必要な人数が多いため、さまざまなプレイヤーが一堂に会することが予想されます。
そこでどんなプレイヤーが相手でも楽しめるようなゲームを作るため以下の点を意識しました。
 ・デスクトップ/VR、PC/Quest問わず遊べるようにした
 ・自動進行させることで長考などによるゲームの間延びを防ぐようにした 
 ・実力の差がつきにくいゲーム性にした

操作はいたってシンプルだが、時間内に投票先を選ばなくてはならない。
相手の投票を推測する必要もあるが、正直運の要素がかなりデカい。

③短時間でルールを把握させる

このゲームは私が考案したオリジナルゲームとなっているため、すべてのプレイヤーはルールを把握するところから始めなくてはいけません。
この手間を少しでも小さくするために、以下のようにしてルールをすぐに把握してもらえるようにしてみました。
 ・ルールを手軽に把握できる説明動画やサンプルオブジェクトをワールド内に設置した。
 ・ゲーム内でのポイントの動きなどをアニメーションで流動的に演出することで、ポイントの流れを直観的に理解できるようにした。
 ・そもそもゲームのルール自体をできるだけシンプルにした。

ゲームエリア手前に2分ちょいのルール説明動画が流れている。
隣にはサンプルオブジェクト。これでもかってくらいルール説明を充実させた。

実験的に導入してみた要素

他のワールドにはあまりない斬新な要素も欲しいなと思って試しに取り入れてみたものです。他ワールドとの差別化も狙っています。

④ビデオプレイヤーをゲーム画面の背景に映す

VRChatのワールドにはYouTubeなどに投稿された動画をワールド内で再生できるビデオプレイヤーが設置されていたりします。
このビデオプレイヤーは基本単体でワールド内に設置されていることが多く、ワールドギミックやデザインの一部として組み込まれているところをあまり見かけなかったので、試しに背景に取り入れてみました。
他にもプレイヤーが集まるまでの時間潰しとしての活用も想定しています。

デフォルトでこのワールド専用の背景用動画を流している。実はBGMも私が作ったやつ。
URLを入れれば好きな動画を背景に映すこともできるぞ。

⑤ゲームリザルトをグラフで表示する

このワールドを作る上で一番力を入れた要素かもしれません。
ゲーム中は相手の投票先や獲得ポイントを確認できないので、ゲーム終了後に全員分のポイント獲得の推移をグラフで表示し、今までのゲームの流れを振り返ることができるようにしてみました。「あのレースであそこに投票していたの○○さんか~」みたいな感想戦を楽しめる要素となっています。
他にも1画面にリザルトを集約することでプレイヤーにリザルトのスクリーンショットを撮ってもらって、SNSなどで広めてもらうといったスクショ映えという狙いもあったりします。

終盤のレースで一気に差しが決まった様子。すごい。
フォトスポットもあります。さっき私がボロ負けしてた回のやつだこれ…

まとめ

ここまでいろいろと記してきましたが、これらの狙いや要素はほとんど私が日頃VRChatのワールドで体感している障壁が基になっています。
 ①プレイヤーが出入りしても遊びやすくする
  →このワールドで遊びたいが人が集まらない
 ②どんなプレイヤー相手でも楽しめるゲームにする
  →めっちゃ強い人が無双し続けてまともなゲームにならない
 ③短時間でルールを把握させる
  →ルールを把握するだけで時間をだいぶ使っちゃった

①の→は最も大きな障壁だと思っていて、どんなにゲームワールドで遊びたくても、そもそも遊ぶためのスタートラインにすら立てないことがVRChatのゲームワールドではよくあることだと思います。どんなに面白いゲームを作ったところで、そのゲームを遊ぶまでのハードルが高いとなるとそもそも遊んですらもらえません。(私が過去に製作したワールド『バチャリーグ』や『回答ポーカー』で痛感しました)
この障壁は最優先でなるべく取り除こうと必死になりました。

②③については、もちろん②の逆である「実力がものを言うゲームワールド」や③の逆である「複雑で奥の深い戦略性が求められるゲームワールド」もそれ相応の楽しみ方があります。ただあまりゲームをやりこまない私の個人的な好みとしては、ゆるく手軽に遊べるゲームワールドの方がVRChatという環境では遊びやすいなという想いもあって今回このようなワールドにしました。
また「ゲーム」という要素について、一般的な考え方では
 「ゲームに勝つために他の人とコミュニケーションを取る」
となることが多いですが、私がVRChatのゲームワールドに求めるのは
 「他の人とコミュニケーションを取るためにゲームをする」
と、目的と手段が逆になったものです。
やはりVRChatの醍醐味は他のプレイヤーとの交流にあると私は考えているので、その交流を手助けできるようなワールドがあったらいいなと日頃から思っていました。

『投票ダービー』はこのような私自身の「VRChatのゲームワールド」に対する理想をとことん追求したワールドとなっています。

最後に

ここまで記事をお読みいただきありがとうございました。
また『投票ダービー』の製作にご協力いただいたフレンドのみなさん本当にありがとうございました。
そして『投票ダービー』で遊んでくれているVRChatterのみなさん本当にありがとうございます。
まだ不完全な部分も残る『投票ダービー』ですが、今後もブラッシュアップを続け、より楽しめるワールドになるよう製作を続けて参りますのでどうかよろしくお願いいたします。では!

やることが…やることが多い…!!

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