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金属アレルギーのはなし Ver 1.0


はじめに

●この記事では金属アレルギーについて独学で調べた事をまとめています。
●専門家ではない素人調べという事を先に知っておいてください。
●ジュエリー、またはアクセサリーに特化して調べています。食品に含まれる金属成分や、金具などの日用品について深く言及していきません。

●また、アレルギーの発生は体質に大きく影響しますので、正確に調べるには皮膚科でパッチテストを行ってください。
(※パッチテストは金属を直接皮膚に貼るため、パッチテスト自体による感作のリスクがあることや、汗をかきやすい夏季は行えないなど様々な制約もあるので、医師とよく相談してからの検査をおすすめします。)
●ちなみに自分の兄も金属加工業で毎日汗かきながら金属に触れていますが、アレルギーではありません。体質によりけり。

●この記事では「リスク回避の知識」と、アレルギーの兆候がある人には「自身のアレルギー傾向」のヒントを得ることができます。

●アクセサリーやジュエリーを製作している中、お客様や身の回りの友人に金属アレルギーの人が意外と多く、提供するものに責任を持つために調べました。過去、未熟な知識で不快な思いをさせてしまった友人もいたりするのですが、間違いを増やさないために調べなおしと、記事公開をすることにしました。

●今後、この記事を見た人からのアドバイスで、内容を更新し、より正確なものにできるといいなと考えていますので、コメントやDMなど歓迎しています。


1、金属アレルギーとは

金属アレルギーはわかりやすく言うと、金属に含まれる成分が、身体に吸収され、変質。それに免疫反応が過剰に働くことで、かゆくなったり、炎症を起こす現象です。

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特に、汗に含まれる塩素が金属を溶かす要因になると言われており、夏場にだけ発症する。という人もいます。皮下組織に直接触れるピアスや、傷の上から身に着ける場合は特に注意をしてください。

2、アレルギー症状の多い金属

金属アレルギーと一口に言っても、すべての金属に反応するわけではありません。花粉症と同じく種類があり、原因となる特定の金属があります

金属ごとにアレルゲンとなる原因物質の溶けだしやすさが異なり、それを「金属のイオン化傾向」と言います。条件や環境によるのですが目安として使われます。(高校の授業で教わるそうなのですが、、私は全く覚えていませんでした。。)見てみましょう。
※一般的なアクセサリーに使用される金属の文字を濃く表示しています。

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亜鉛

ニッケル
スズ

このあたりの金属がイオン化傾向が大きく要注意ということになるでしょうか。

※チタンは酸素と結合し不働態と呼ばれる膜を形成する性質があり、非常にアレルギーになりにくい素材です。

と、ここまでが多くのサイトに語られている内容です。
ではここでもう一つ、金属アレルギーパッチテストの結果を公開しているサイトがいくつかあったので、まとめてみました。

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全体的にアレルギーの症状が出ているなという印象です。チタンの情報は少ないのですが、アレルギーの発生は少なそうです。

ニッケル
パラジウム

プラチナ


このあたり、アレルギー症状が出ている人が多いと言えるのではないでしょうか?、、、ん??、、先ほどの表と、、合致していません

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一般的にアレルギーリスクが低いとされているプラチナが、パッチテストの結果に引っかかっています。どういうことでしょうか?

推測ですが、金とプラチナは結婚指輪として人気の高い素材なので、身に着けている人も多く、着用時間も長いため、金属イオンの摂取量が多く、症状が多い出ているのではないかと考えられます。

※今回はジュエリーまたはアクセサリーに特化して調べていますが、クロム、コバルト、水銀は、身の回りの金属製品など、生活に取り入れられている事も多いので、注意してください。

3、ジュエリーのアレルギーリスク

ジュエリーまたはアクセサリーには、様々な金属を混ぜた素材を使用しています。純金や純銀で作られているものは、ほぼありません。

他の金属を混ぜる事で、傷つきにくくしたり、発色を良くしたり、加工性を高めたり、安価にしたりと、様々な効果を付与しています。

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このように、例えば「18kのピアスを身に着けるとかゆくなる」という人は、金だけでなく、金、銀、銅、いずれかの影響を受けている可能性があるのです。

また、多くの製品はメッキコーティングしています。変色防止、色変更、耐久性の向上、品位の向上。などの効果を付与する目的です。

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メッキは、表層面が摩耗し、アレルギーが起きやすいニッケルが露出することで影響を及ぼすことがあります。また摩耗していない新品でも、ピアスの場合、体液の影響で下地の成分がミクロの穴から染み出して影響する場合もあるようです。

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ここまでをおさらいします。

●溶けやすく要注意なのは、亜鉛、鉄、ニッケル、錫、鉛。
●アレルギーの人が比較的多いのは、ニッケル、パラジウム、プラチナ、金。
●チタンはかなり安全ぽい。
●原因は、混合している他の金属成分や、表面のメッキ成分かもしれない。

4、素材と成分表

ということでここまでの話から「ジュエリーにどの金属がどれくらい使用されているのか」を知ることで、アレルギーリスクの回避が行えそうです。調べてみました。

調べて、みたのですが、、、困ったことに決まっているのは大枠のルールのみで、各社オリジナリティを出すため、微妙に金属の成分と配合を変えているみたいなのです。。それでも主要そうな情報を集めてみました。
※最も主要そうな情報の文字を濃くしています。

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アレルギー症状があるかたは、この表を見ながら、どの素材が大丈夫で、どの素材のときにアレルギー症状が出るのか、調べてみてください。

例えば、シルバー925にロジウムメッキの製品は問題なく真鍮はだめ、という人がいたとします。この場合は「亜鉛の可能性が高い」ということが言えるかと思います。

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なぜそうなるのか。まず、真鍮に含まれる成分の多さから亜鉛の可能性が最も高いです。も可能性がゼロではありません。は無症状であるシルバー925の成分なのでセーフでは?と思うところですが、含有量が7.5%と控えめな事に加え、トップコートとしてロジウムメッキがあるので、銅はほとんど表面に露出していないと考えました。真鍮に含まれるの成分も63~67%と多いため、の可能性は高いと考えました。

※冒頭にも書いていますが、皮膚科でパッチテストや血液検査を行うのが正確です。その際、本記事で登場した、アクセサリーによく使われる金属が含まれているかどうかを気にしてパッチテストの種類を選ぶことをお勧めします。

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個人的には、メッキ無しのシルバー925、使ってる金属種類も少なく、銅の量も少なくて安心感が高い素材なのでは?と思いました。酸化で色が黒くなってくるのが難点ですが。。

5、それ以外の予防方法

これまで調べてわかったのは、どの金属にもアレルギーのリスクがある。ということでした。自分も「金とプラチナは結構大丈夫。」と思っていたので驚きました。。色々と勉強し思う予防策としては

●ピアスは要注意。するならチタンポストの製品にする。
ピアス怖いなと思いました。身体の中に入れるならその部分は安全なチタン製にしましょう。最近イヤーカフ流行ってるしそれもいいですね。

●持っているアクセサリーのメッキが剥がれていないか確認する。
例えば、もともと金色だったけど、銀色や銅色が見えているアクセサリー、ありませんか?下地の素材が出てきています。要注意。再メッキは1000~2000円くらいで頼めるところがあると思います。

●購入前にメッキの有無を確認。ニッケルが含まれるのかも確認する。
シルバージュエリーと書かれていてもロジウムメッキかけてるパターンよくあります。さらに敏感な人はニッケルは避けたほうがいいのかもしれない。

●物理的にコーティング剤を塗る。
マニキュアのようなコーティング剤をアクセサリーに塗る。「ジュエリー コーティング剤」というキーワードで商品が出てくると思います。トップコートを塗るのがいいよ!という意見も出てきますが、専用に開発されたものではないので、お勧めしません。。ちなみに私が樹脂系アレルギーの傾向がありまして、トップコートで別のアレルギーになったら悲しいですよね。。

これはまだ責任持てない情報ですが、、自分の知り合い数人に少しずつ試してもらっていて、一応、効果があったコーティング剤を一つご紹介します。

いくつかある中で選んだポイントは、皮膚科専門医が監修しており、臨床試験もしていて、引っ掻いても剥がれない強固なコーティング(試しました)。素材も樹脂アレルギーとは無縁な物質。セラミックやシリコンで安全そうだ。ということ。

ただし、開封後は、硬化してしまうためすぐに使い切ってください。と書かれており、原則、日持ちしないという点が我々作家にはとても使いにくい。。。涙 あと、結構膜を張るので、塗った部分の風合いが変わってしまいます。

以上で、今のところの研究?の共有はおしまいです。
10人に1人が金属アレルギーの症状を持っていると言われる現代ですが。金属アレルギーの正しい知識を身につけ、作る側も、身に着ける側も、ジュエリーやアクセサリーを楽しみたいですね。



●参考にしたサイト:

https://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/3076/1/5_45.pdf

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