未来掲載短歌 2021年9月号
未来2021年9月号掲載
生月天中殺
念のため秤に置けばトスと鳴る14グラムのファンレター 飛べ
祖父の山(いずれ私の山となる)ともかく母は立ち入り禁止
通知欄[あなたの偽名:もうちょいでつく!]を見ているマナーモードで
お仕事の後に私を探すときひたに三十二歳あなたは
一冊の本がふたりの前にある椅子の近づく罠であったが
五年ぶん自分の歌をさかのぼる何をひらけど弟妹不在
「珍しい名字ですね」を待っていたこれまでの初対面を踏まえて
朝起きて窓をひらけばマンションの隣の寺がなんかやってる
どこからを夢としようが忘れないTouch IDその振動を
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