未来掲載短歌 2022年10月号

未来2022年10月号掲載

誕生日の梅雨明け

無線イヤホンがやや浮くライブ感 千葉上空に待機するとき
東京はゆっくり坂になっている自分の足音が聞こえない
宇和島の木造建てのぐるぐると腐り始めた音が聞こえる
ふかふかのタオルハンカチ コインランドリーに居ると見える功罪
彼はまた検査を受ける頃だろう私は雲の中へと入る
日々仕事 誰かに明かす暇もなく尻を育てて梅雨が終わった
筋肉は裏切らないと人の言う私にめぐる筋は確かに
レーザーを浴びて抜けてく陰毛はにこやかだった素直で良いよ
グラスごと冷えたビールの心境を自分が味わうことになるとは
味のない汗を舐め取る通勤路、全身に向かい風を浴びつつ

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