未来掲載短歌 2022年6月号

未来2022年6月号掲載

記憶から海を引き出す ぼんやりとしているほうが瀬戸内の海
はっきりと突きつけてくる太平洋うたた寝してる人もいるのに
地図にない隙間に茂る菜の花があふれ始めて川より広い
爪を塗り明日には落とす指先に染みた完全週休二日
(大叔母の母の話をされている?)田舎の人はしばしば怖い
のろのろと母との電話 先週と同じ言葉をかけて終わらす
シャンプーを愛しているか頭から被ってもいいくらいに好きか
洗濯機いつまで保つかわからない引っ越す予定が無いから悩む
丼ぶりをどぷどぷ洗う いつか来る訃報は遠い場所で聞きたい
通勤にただ過るだけ取り壊し工事の家はあばらを晒し

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