未来掲載短歌 2020年7月号

未来2020年7月号掲載

東京の友人を訪ねる

その人が黄色い線を越えるから舎人ライナー鳥になる朝
友人と友人とゆく浅草寺おみくじ千切るくらいに結べ
東京に来いと言われてすぐに来た 優しい着替え パニエまである
三人とも家はあるのに、ここじゃない家は遠いし、コップをゆすぐ
標準語とまじわっている あの人の声を追い出すように私は
現実のヨドバシカメラなめらかに昇る際限なくこの世だな
東京に来い、と言われながら見る売り場いきいきした炊飯器
この人はなんでも与えたがる人ペットボトルの紅茶わけあう
天竜川だったのだろう西へ西へ流されているのは私だが
ごめんって言える間にゆうときやイントネーションずれていっても

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