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年賀状の切れ目2

年賀状の切れ目1>>https://note.com/ta8ne/n/n44d0fde55ad1

何かを理解し、何かが切れた音がしても。
繋がりを感じてしまう1通の年賀状が、私の元には毎年届く。

オックン(仮名)からの年賀状だ。

オックンは私が以前、高校教員をしていた時の同僚のおじいちゃん教員。
年賀状には「おめでとうございます」の一言変わらない年賀状。
それをみていつも思い出してしまうことがある。

当時、私は仕事を辞めるか悩んでいて。
職員室でこんな話をしていた。

・・・

た「楽な仕事ってなんですかね?」
オ「そりゃあ君、どんな気持ちでやるかだから。この仕事だって最高に楽さ」
た「?」
オ「 ”いいかげん” でいいんだ。自分の中の良い加減」
オ「オラァはいつも、いいかげんだからな笑」

オックンは普段からいいかげんで、テキトーなイメージ
生徒や先生から「あの人は仕事しない」という印象が強く。
私も同じようにそう思っていた。

「いいかげん」って、、、
オックンは、いつもテキトーだし。
それでいいかもしれないけど、新米にそんなことできないだろ。
いいかげんな人が、いいかげんなことを言っている。
その時はそうとしか、受け取れなかった。

年度末。
私とオックンは同じタイミングで、高校の職場を離れた。
私は転職し、オックンは定年退職だ。

・・・

当時の職場の先生に、仕事の延長で送っていた年賀状が何通かあった。
こちらから送っても、返ってこない。仕事の社交辞令年賀状。
今になっては、全て切れた年賀状になってしまっている。



オックンの1通を除いて。


いいかげん


「いいかげん」と言いつつ
私を気にかけてくれているようで。
少し嬉しく感じる。
職場を離れる時、彼はこう言ってくれた。


「他のやつと違って、オラァ。君だけが心配だ。」


そして、今年もオックンに年賀状を返す。
「ただちは心配ないです」と

年賀状のつなぎ目。

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