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銀英伝のその後を妄想!ラインハルト亡き銀河帝国はどうなるのか?

銀河英雄伝説って小説・アニメをご存じでしょうか?
帝国の下級貴族だったラインハルトが、銀河皇帝に成り上がり宇宙を統一するスペースオペラです。
スターウォーズの影響を受けながらも独自の政治風刺が今も人々を引き付けてやみません。

作中の歴史小説としての「銀河英雄伝説」はラインハルト皇帝の死去で終わっています。銀河帝国のその後はどうなたのでしょうか。
私なりの個人的な推測を考えます。

①立憲主義への移行、議会(元老院)の権限回復

ラインハルトの時代は、憲法や国家基本法(=国家権力を縛るルール)は必要ないでしょう。
良くも悪くもラインハルトは戦闘狂、軍事人間なので権力欲が肥大化するとか、権力を持ったとたんにダメに成るタイプではないからです。
平和な時代でも、ビッテンフェルトのような危なっかしいのは居ても、多くの官僚や部下が公明正大で私欲よりも公益を重視するタイプなので彼を補佐するでしょう。
問題は、ポストラインハルトの時代です。
巨大国家な銀河帝国では色んな人が官僚や大臣になるでしょう。
そうすれば私欲に走ったり、今の体制に不満を持つ人がなりあがってくる可能性はない訳ではありません。
さらに帝国の巨大な経済界(フェザーン商人のネットワークや財閥、軍産複合体など)は「もう戦時体制を解いて、もっとお金儲けをしやすくするために経済の自由化をして欲しい」と主張してくるでしょう。
それこそ元老院や貴族らと繋がりを持つでしょう。
やはり多くの人が予測しているように「立憲主義への移行」と「議会の権威と権限の拡大」は必須です。
文民官僚(非軍人)の地位も向上するでしょう。
(※ラインハルト政権の議会はおそらく、皇帝と大臣が会議で決めた事を拍手で称賛するだけの拍手会議、ラバースタンプ(ゴム印)議会となっているでしょう)

②旧ゴールデンバウム王朝の貴族らとの軋轢

ゴールデンバウム王家は途絶えました。しかし分家と言うか、公爵や侯爵クラスで血を引いているものや、女系だけど一応は所縁がある人もいるでしょう。
さらに旧ゴールデンバウム王朝の時代に成りあがった政商や貴族もいたし、
秘密警察にも旧体制で成り上がった人も居たでしょう。
もちろんローエングラム王朝になったら新政権と組む人も居たでしょう。
しかし既得権益を守りたい保守派もいたはずです。
旧ゴールデンバウム王朝の権益層と、新王朝での権益層の間でなんらかの利害関係を調整する、取り決めや話し合いの場が設置された可能性はありますね。


③新領土(ノイエラント=旧同盟)の自治権の強化


旧自由惑星同盟はどうなるのでしょうか。
私は旧同盟領は建前や形だけでも、内政の自治権と限定的な議会制民主主義を回復していたと思います。
惑星ハイネセンは総督府の直轄行政になっていたとしても、他の惑星エル・ファシルやウルヴァシーなどは「建前としてでも選挙権が欲しい」「上っ面だけでもいいから、立憲主義と立法府(議会)が欲しい」と成っていた可能性があります。
というのも旧同盟国民は腐敗堕落していたとはいえ、民主体制で生きてきたので貴族制や階級社会には違和感を覚えるでしょう。
ならば「皇帝陛下とそのご意向たる帝国憲法を尊重する」という条件付きで内政の自治や立法は自由に任せると言うのも手です。
そうすれば旧同盟の反帝国派もいくらか気持ちが和らぐでしょう。
また旧同盟領を経済や安全保障では縛っておいて、形だけは独立させて、
デモクラート自治連邦、ヤンウェンリー・コモンウェルス(自治連合)、などの名称で形だけは独立させる、というのも手段です。
(※そうすれば旧同盟で起きたトラブルはあくまでも帝国政府の責任には成りません)

④ビッテンフェルトの老害化?!絶対君主制への回帰を目指す保守派の星に?


さて革命児であり、風雲児であり、問題児であるビッテンフェルト元帥の今後です。
彼は性格的に、平和な時代ではどうするのでしょうか?
おそらく帝国国民や退役軍人、戦友会などでは絶大な人気を誇るでしょう。
声も大きくて演説もうまそうです(笑)
ミッターマイヤーも士気を鼓舞する演説ならうまそうですが、優等生的なことばかり言いそうですね。
なので退役軍人協会や戦没者遺族会、戦友会などの名誉総裁や会長をやってそうです。
そして問題なのは彼が、議会制や立憲主義に反対する極右(反動主義勢力)のシンボルとして担がれる可能性です。
どんな政治体制でも不満を持つ人や反対する人は存在します。
そして「議会や官僚がのさばってから帝国はおかしくなった。カリスマある皇帝親政の方が人民独裁的で良い。」と考える人らは出てくるかもしれません。
立憲主義や議会制への移行に反対する人らがビッテンフェルトこそがラインハルトの「忠誠な臣下」だと理想化して神格化する可能性もあります。
また後述する「軍部の肥大化」も関連して来ます。

⑤巨大官僚組織、「帝国軍」はどうなる?

一番の問題になるかもしれないのが帝国軍です。
帝国の守護者にて銀河統一に貢献した英雄的な団体ですが、
仮想敵国が居ない平和な時代だと無駄に巨大化した官僚組織です。
特に帝国軍はカリスマ性ある高級将校の乱立、そして士官の数が多すぎると言う問題があります。
大将や、上級大将、元帥といった超高級将官が乱世によりたくさん生まれました。
しかし軍隊とは工場やクリエイターと違い、基本的には「生産しない」組織です。グッズ販売や土木工事にも動員できるかもしれませんが。
そして問題は「組織維持のための組織になる」という手段の目的化が行われます。
仕事を減らしたくない、軍縮したくない、退官したくない、という気持ちで組織の削減や縮小に反対する人も居るでしょう。
また軍人として早期退役や階級の降格は名誉が傷つくと考える人も
居るかもしれません。少なくとも宇宙艦隊は半分に削減、士官も半分に削減、士官学校や幼年学校もオーディン以外は閉鎖という可能性もあります。
社会福祉やインフラの保守に金を使うべきだと当然出てきます。

肥大化した帝国軍が、かつての大貴族のような腐敗と利権の温床となる可能性もありますよね。


いかがだったでしょうか。
銀河英雄伝説はキャラクターが自分で勝手に動いてくれるので、創作もしやすいと思います。

☆おまけ、やはり銀河の未来は暗い??


銀河英雄伝説の後の歴史はどうでしょうか?
残念ながら多くの人が「未来は暗い」と推測しています。
私もです。
ラインハルトは崩御して精神的な支柱を帝国は失いました。

ローエングラム朝銀河帝国はあくまでも「天才達により成り上がった新興国家」です。
一方で旧ゴールデンバウム王朝には開祖のルドルフからの正統性もあるし、長い歴史もあります。
平和な時代となれば、旧体制系の勢力が台頭してくるのは時間の問題でしょう。
ヒルダは皇后として良き支援者としては有能でしたが、狡猾で抜け目のないタイプでは有りません。
彼女が銀河帝国の指導者としてうまくやっていけるでしょうか。
オーベルシュタインが居れば、秘密警察や情報機関をフル活用してくれたかもしれませんが、彼すらいません。
ヒルダは「新帝国をダメにした」として責任を背負わされるかもしれません。
そして「ラインハルトを神聖視する民衆ら」がヒルダ摂政時代の帝国をダメにする気がしないでもありません。

ロイエンタールの息子であり、ミッターマイヤーの息子でもあるフェリックス。
彼は反逆者ロイエンタールの子孫だと自認するか、忠臣ミッターマイヤーの子孫と自認するかで運命は分かれそうです。
もしも実の父、ロイエンタールの運命を背負うと決めたら悲惨なことになりそうです。
フェリックスは旧ゴールデンバウムの復古主義勢力と結びつき、反動主義革命に利用される可能性もあります。旧同盟にも独立と民主主義回復を望む勢力が居そうですね。ミッターマイヤーはそうなれば悔やんでも悔やみきれない絶望を味わうかもしれません。

またヨーゼフやカトーヘンと言った王家の末裔達はどうしているのでしょうか。ここも言及がないのが不気味ですね。

いずれにせよ、「銀河英雄伝説の本篇移行の世界は暗い」と私も推測します。もちろん最初の30年や40年は平和で良い時代が続くかもしれません。
しかし「英雄戦争」の後の世代になると再び人々は精神的にも堕落していくでよう。

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