『独学大全』を読み始めて1日目

2024年5月のゴールデンウィークの予定

2024年のゴールデンウィークのカレンダーはこんな感じ。
4/27(土曜)
4/28(日曜)
4/29(月曜 昭和の日)

4/30(火曜)
5/1(水曜)
5/2(木曜)
5/3(金曜 憲法記念日)
5/4(土曜 みどりの日)
5/5(日曜 憲法記念日)
5/6(月曜 こどもの日 振替休日)

太字部分は休みなので、間に挟まった3日間が休めれば夢の10連休。元々は10連休の予定だったが4末で異動、5/1から新部署での業務開始となり10連休の夢は儚く散った。そんな4日連休から4連休という、それでも恵まれた休み期間に何をしようかな、と考えて少しでも自己研鑽をすることにした。

一度は回避した『独学大全』に挑戦してみよう

連休前に下記のようなWeb記事を読んだ。

上記にて最初に紹介されているのが『独学大全』である。タイトルからも窺い知れるとおり「独学」に関する書籍で、出た当初にも話題になっていたし、昔一度読もうかなと考えたこともあった。しかし三千円弱という価格と780ページ余りというボリュームに臆してしまい、読まずにスルーしていた。

連休前に上記の記事を読んで『独学大全』の内容について自分が理解できていなかったことや、下記の文章から「これはやはり一度読んでおくべきなのかも」と改めて思った。

本書は独学の百科事典を目指して書かれたものだ。かなりのボリュームがあり、いわゆる「鈍器本」と呼ばれている。手に入れたときの高揚感から、これを読むことを独学にしてしまう人がいる。
もちろん、通読することで技法の由来となった人物や史実に精通することができるし、独学へのモチベーションも上がるだろう。人類が積み上げてきた問題解決への叡智を学ぶ人文書として読むのも最高だ。
だが、全読を目的にしてはいけない。読むことを目的にしてしまうと、自分がやりたい独学が後回しになってしまう。あくまでもこれは事典なのだから、引いて使うべし。

【スゴ本】ITエンジニアの「武器」を増やす5冊

なるほど、「大全」という書名のとおり、これは困ったときに何度も開きなおす辞書・辞典の類なのだと考えるとボリュームや値段にも納得できる。また、この書籍の中で上記の記事を書いた方がどの部分に影響を受けたかも具体的に書かれており、自分にとっても同じようにプラスの要素を得られることを期待した。4/27に書籍を手に入れた。そのことをX(旧Twitter)にポストした。

話題になった書籍だけあって、上記のポストにも反応がそれなりにあった。

序文で既に引き込まれた

読み始めて1日目に序文の部分を読んだが、それまでの自分の考えを上書きされるような内容があった。

二重課程説(Double Process Theory)は、ヒトの認知や行動は大きく分けて二つのシステム(プロセス)から形成されるという理論である。
 システム1は、無意識的で自動的、迅速で直感的に働く。これに対してシステム2は、意識的に制御され、処理が遅く、熟慮的に働く。

『独学大全』序文 13p

 二重課程説を使って、我々の意思や認知に関する問題をいくつか分析してみよう。
 例えばダイエットがうまくいかないのは、システム2に対してシステム1が勝利してしまうからである。
 システム2では、知識と仮設思考を使うことで「もしこれを全部食べてしまったら体重が増えるだろう」と予想がつく。しかしシステム1は違う判断をする。甘くカロリーが高い食品に飛びつくよう、システム1はあなたを突き動かす。システム1が培われた旧石器時代の環境では「甘い」という味は、主要な栄養源だった果実が最も栄養価が高くなったタイミングを知らせてくれるものだった。また高カロリーの食物はめったに手に入らず「見つけたらできるだけ食う」というルールが、生き延びるためには適応的だった。
 問題は、我々に生まれつき備わっているメカニズムはほとんどそのままなのに、我々が生きる環境は大きく異なっていることだ。かつての環境では希少だった甘い果実や高カロリー食品は現代の先進国では安価で簡単に手に入ってしまう。この環境下で、我々の脳の生まれつきの好みや衝動のまま飲み食いすれば、どうなることか。しかし理性的に考えて予想がつくにもかかわらず、多くの場合システム2よりもシステム1が優先され、人類が経験したことのないほどの人が肥満に陥っている。

『独学大全』序文 14p〜15p

一般的に言って、我々が勉強を苦手としているのは、長期記憶やパターンマッチングを受け持っているシステム1にとって、勉強で提示される情報が見慣れぬもの、、そして生存に直結しない優先順位の低いものであるからだ。
((略))例えば、写真や録音などの複製技術がない旧石器時代の世界では、繰り返し出会うことは実際に頻繁な接触があったことを意味し、次に出会う可能性が高く記憶する価値があるものだった。このためシステム1には、今日、心理の錯誤効果(Illusory truth effect/Illusion-of-truth effect)として知られる脆弱性がある。
 勉強法というのも憚られるほど、学習でよく用いられる<繰り返し>は、この脆弱性を付いてシステム1に重要な情報であると錯覚させるための方法である。これは同時に、広告やプロパガンダで長年用いられてきた基本的テクニックである。

『独学大全』序文 16p〜17p

「学習する」ということは元々の「本能」には備わっていないもので、そのために学習が継続できないとか上手くできないのはある意味で正しい。しかし、その「本能」というシステムを理解した上でシステムの穴を突いたり、利用することで上手な学習に結び付けることができる、とのこと。

学習の方法として、例えば子供に文字を覚えさせるときに繰り返し何度も何度も「書きとり」のようなことをさせるのは非効率的、前時代的だという批判を目にしたことがある。「何度も書くことで覚える」という面だけを見ると精神論のようだが、実際に繰り返すことで覚えるし繰り返すことでしか覚えられない、という事実がある。それはなぜか、という問いに反復練習により「これは重要な情報である」とある意味本能に誤認させるというシステムを利用したことなのだと分かった。
同じような内容で

しかし我々の日常には、誰かが一方的に長時間続けて語る機械、そして耳を傾けるような機会はあまりない。これが。巨大で複雑な社会を維持するために、生活のコミュニティから切り離された教育の場=学校が必要な理由の一つである。
((略))独学を始めれば、多くの人が自身の不安定さに翻弄される。自身が立てた学習計画を守れない、新しい分野に目移りする、今日ぐらいサボってもと手綱を緩めてそのまま立ち直ることなく学習を中断してしまう等々……。裏返せば、学校がいかに様々な手段によって、不完全なコントロールをサポートし安定化させていたかが分かる。

『独学大全』序文 25p〜26p

があった。「なぜ学校に行かないといけないの?」というのは子供が発する質問だが、答えは人それぞれに違い明確な答えを提示できない大人も多い。中学生の頃、教師から言われたことがある。「なぜ学校に行かないといけないか分かるか?行かないといけないからだ!お前の親も仕事に行かないといけないから行っているだろう。それと同じだ。」とのこと。当時の自分からしても0点の回答だったと思う。今、息子が小学生になり同様の質問をされることがあるが、自分は「自分に学が無くて、チャレンジの機会が人よりも少なくて悔しい思いをたくさんしてきた。自分のやりたいことにチャレンジしたいときに、その権利を必ず得るため、他の人よりも優先してもらえるように勉強は大事」と伝えている。それに対して前述の理由だと、人間がこれまで伝聞により雪だるま式に蓄えてきた知識を習得する、1番最適な環境として学校が生まれた、ととても理解しやすくまとまっている。「人間の仕組みをうまくコントロールするためだね」と話せたら、説得力がある。

まだ序文しか読んでないけど、とてもおもしろい。
連休中に読み切りたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?