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診断書取得から戸籍変更まで

時系列は前後してしまいますが、自己紹介代わりにこれまでの治療記録を大まかにまとめます。
少なくとも30歳までには戸籍を変えることを目標に生きてきました。(なんなら自動車免許の更新が30歳だったので、免許更新の時に戸籍も名前も一新できれば裏面記載にならなくて良いなぁと思っていました。のんきかよ。)
診断書取得から戸籍の記載変更まで約2年。コロナが無ければもう少し早く変更できていましたが、こればっかりは仕方ない。


カウンセリング(2013~2016年)

先に説明しておくと、当時僕の住む県で大々的にGIDカウンセリングやってますといった看板を掲げている病院はありませんでした。ガイドラインに沿った治療を考えれば東京あるいは宮城の病院でカウンセリングを実施していく必要がありましたが、僕の場合は運良く大学の健康センターが地元の大学病院と連携していたので精神科の数例GIDカウンセリングの経験がある医師へ紹介状を書いてもらってカウンセリング開始。
カウンセリング自体は3年程度、頻度も3ヶ月に1回のペースで、内容も自分の現状と性自認に揺らぎが無いかの確認だけで、具体的に染色体検査や心理検査など今までほぼ必ず見聞きしていた検査の類は一切ありませんでした。
大学時代の2013年3月から職場異動に伴って通院が難しくなった2016年8月でカウンセリングは終了しています。

診断書取得(2019年)

残念なことに仕事が激務過ぎて休みが取れず、泣く泣くカウンセリングの通院を断念していましたが、2018年に退職しいよいよオペに向けた準備を始めようと一念発起します。
この時点で27歳、自分の目標まで時間が無かったのでとにかく情報を集めていたところ当時のTwitterで一日診断なるものをやっているクリニック(以下Wクリニック)があると情報を得ました。
もちろん賛否両論、今でも否定的な意見が多い一日診断ですが、むしろ過去に3年もカウンセリングに通っていた実績もあるし、性自認に揺らぎもないし、行ってみるしかないと即予約。
持参した自分史に沿って過去の話をしたり、未来の話をしたり。
カウンセリングに通院していたこともあり、何も問題は無いでしょうとすぐに診断が下りました。
これが2019年8月のことです。

胸オペ(2019年)

診断書もゲットしたし、手術しよう!と再び情報収集。
元々症例数の少なさや再手術、患部の壊死などトラブルを起こしている当事者が多かったため国内でのオペは全く考えていませんでした。保険適用も議論されている時でしたし、ここでまた待ち時間が発生するくらいなら実績も多い名医のいるタイでオペしよう!と決意。
Twitterでガモンホスピタルに個人手配で手術した人を発見し、色々相談に乗っていただき手術に同行してもらえることに!初めての海外でもあったのでとても心強かったです。

善は急げと早速ガモンホスピタルの問い合わせフォームから手術を検討していて金額や条件など詳細が知りたい旨を記載し、現地のコーディネータースタッフ(以下Hさん)とコンタクトを取り始めました。
術式や金額、滞在日数、術後の通院について細かく記載されたメールがすぐに届きましたが、そこでまた問題が…。

肝機能や腎機能など蓄積されていく内臓への負担を少しでも軽減するため、また手術による血栓リスクを軽減するためにホルモン注射は手術後に開始する算段でしたが、SRSにはホルモン治療を少なくとも半年~1年実施している必要があるためいきなり手術は無理。
それでも自分の体が目に入るために落ち込む人生だったので、先に胸オペだけでも済ませよう(胸オペはホルモン治療不要)とその旨をHさんに連絡。
2019年11月に胸オペの予約を入れることが出来ました。
ここで細かい胸オペの話は割愛します(めちゃクソ長くなるので)。

ホルモン治療開始(2020年~)

胸オペも終わり、次はSRSに向けた準備開始です。
Hさんからホルモン注射は原則1年、場合によっては半年でSRSの許可が出ると言われていたので、2020年11月を目途にSRSできれば良いなと考えていました。
ホルモン治療は地元の個人病院でテストステロン注射250mgを4週毎に実施。本当は肝・腎機能への負担を減らすため5週間隔にしたかったのですが、血中濃度が維持できなさそうだったため断念。変化を早く求めている人にとっては250mg3週毎が良いかもしれませんが、副作用の観点からはお勧めしません。多分すぐハゲる。

SRS(2021年)

Hさんにはホルモン治療を開始した旨をお伝えし、2020年11月にSRS希望であると仮予約的なメールを送っていました。
が、
ここでコロナですよ。2020年1月に横浜港に到着したダイヤモンドプリンセス号を皮切りに、日本国内でも新型コロナウイルスが大流行。そして鎖国。海外渡航だけでなく、医療機関確保のため優先度の低い手術や処置は後回しとなってしまいました。
Hさんとはこまめに連絡を取り合っていて、ガモンホスピタルでもしばらくは手術不可で再開の見通しは立っていないが、入出国の解除や規制緩和など新しい動きがあったらその都度知らせて手術の日程を決めていこうと言って頂けたので、気持ちは焦っていましたが安心感はありました。
仕事柄インフルエンザが流行する時期はマスクを常時着けているものの、陽性を疑う人と接する職業ですのでとにかく感染しないように気を張って生活していました。
結果的に2020年11月の手術は日本からの出国条件がかなり厳しかった(たしかビジネスのみ、ビザを取得して入出国前後の検査と14日間の隔離、飛行機も週1便程度だった気がする)ため断念。
しかし、12月下旬に医療目的での渡航が解禁(ビザ取得や航空会社はタイ国際のみ、検査条件もまだ厳しめ)。仕事の都合やビザ取得の時間を考慮して、2021年2月にSRSの本予約を取りました。

コロナに感染することもなく、日本より先に国内の規制が緩和されたタイの観光も出来たし、色々あったけど今思えばかなり貴重な体験をしたなぁ…。

戸籍変更(2021年)

SRSが済んだら、改名・戸籍変更の準備です。
SRSが終わってすぐにWクリニックの医師にメールを送り、審判用の診断書を作成してもらいました。セカンドオピニオン先の病院候補を教えてもらい、ネットで受診予約。今の時代はなんでもネットで完結出来てありがたいです。
帰国後隔離期間が終わり次第、Wクリニック受診とセカンド受診を1日で済ませ、(また自主隔離20日程度をしてから)地元に帰ってから家裁に各書類を提出。
1ヶ月程経った2021年5月に裁判所から面談の呼び出しがあり、面談当日に改名・性別変更の許可が下りました。
(ちなみに同時に申立をしたのでその分費用が安く済み、いくらか切手が返還されました。)

総括

実際に良いか悪いかは別として、2019年8月の診断書取得から2021年5月の戸籍変更まで1年9ヶ月とかなり短い期間かと思います。
コロナが無ければ2020年内には戸籍変更が済んでいたはずでしたが、結果的に自分が嫌だと思っていた臓器も無くなり、社会的に望んだ性別で生きること死ぬことが認められたので満足です。目標の30歳はちょっと過ぎちゃったけど。

あとは手術を受ける医療機関によっても満足度は変わると思います。
国内で受けるメリット・デメリット、国外で受けるメリット・デメリットをよく考えて、自分にとって最適な治療を選択してください。
僕はタイのガモンホスピタルで手術できたことが何より良かったと思っています。タイは性別に関わる医療以外にも医療水準自体が世界的に高く、医療ツーリズムがあるくらい医療に関してお任せできる国です。ガモンホスピタルはメールフォームから個人手配出来て安く済んだし、日本人スタッフがいることで言葉の壁は無かったし、なによりHさんがとても良い人。
微笑みの国というのも分かるくらい、穏やかな旅でした。

このnoteをきっかけにガモンホスピタルを選択肢の一つに入れてもらえると良いなぁと思っています(別にお金をもらって宣伝している訳ではないです)。

よろしければサポートお願いします!今後の活動費に使わせて頂きます。