殴られると”痛い”のか?

ガチで人に殴られる。

人生でそんな経験をすることは普通に生きていればそうはない。

僕たち格闘家は言わずもがなリングの上でそれを行う。日々勝利の二文字の為だけに心身を鍛え上げる。

率直に、「殴られたら痛いのか?」

痛く・・・ない。

これは強がってるわけではない。

試合中は極度の緊張と興奮から大量のアドレナリンが分泌されている。試合後、家に帰り興奮がさめてくると身体のあちこちがアザとなっており痛みを感じることはよくある。骨に異常があっても試合中には感じないことさえもある。

だが試合中にそれらの痛みを感じることは少ない。

顔面を打たれるとタイミングや打たれた場所によっては脳が揺れる。痛いという痛覚の認識の前に目の前が揺れる。いつの間にか天井を見上げダウンをしている。気づけばレフリーがカウントを数えている。倒れる瞬間は目の前がパーッと真っ白になる。

だが、そもそもの話。倒れるパンチというのは実は強いパンチというよりも見えなかったパンチ、反応出来なかったパンチだ。

見えてるパンチ、大きいパンチ、遅いパンチというのは反応が出来る。いわゆる反射神経というやつだ。

仮に100の力で打たれても反応すれば30くらいの衝撃になる。が、見えないパンチは70でもそのまま70で伝わる。

見えないパンチ、反応出来ないパンチとは何か?

以下にいくつかまとめてみた。

・単純に相手のハンドスピードや踏み込みが速い。

・フェイントにかかり、反応が出来なかった。

・疲れていて反応が出来なかった。

・自分が打ってる最中に打たれて反応が出来なかった(カウンター)

などなど。

パンチングマシンで出る数字は”対人間”へのダメージとしてはそのまま当てはまらない。よって格闘家が普通の数字を計測しても弱いとは思わないでやってほしい笑

相手のタイミングを外し、スタミナで上回り、パンチのモーションを消し、よりコンパクトに、より速く、パンチの回転を上げ、初めて訓練している相手を倒せるかもしれないということに至る。

だが、話は戻るがボディに関しては痛い。というか苦しい。足が止まり闘志も萎える。 ボディは脳が揺れるわけではないため意識もしっかりとしながら痛覚を認識する。

ちなみにボディにも急所があり、自分の右半身の肋骨の少し下にある肝臓。そして、みぞおち。これらを打たれると特に効く。

”殴られる”という前提と覚悟がない中、道端で急に殴られたとしたら、きっと相当痛いだろう。一般の方に関しては殴られるという経験もないため更に”痛い”と感じること間違いない。

だが、リングの上で最も痛いのは何か?

”敗北”だ。

相当な痛手を心に負う。

そして、リングの上で負った心の怪我はリングの上でしか治せない。酒や遊びでは決して癒えないのだ。

痛みは時に成長を促し、より強くしてくれる。だが不要な痛みはなるべく避け生きていきたいものだ。

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