国民審査の結果に関して

日曜日の投票で行われた最高裁判所裁判官国民審査の結果が出ました。選択制夫婦別姓に理解を示さない判決を出した4人の裁判官の×が多かったという記事を読んで、どの位なのかを確認してみました。

まず、全国はこちら。

画像1

(率は小数点以下3位を切り捨て)

数値をグラフ化してみました。多いのは、指摘されている4名、少ないのは4名で、つい最近任命された人であることがわかりました。

画像3

これなら差があると言えそうです。検定を行いたいと思います。しかし本来検定は偏りのない標本調査について評価しますが、今回は投票に行った人の結果なので、偏りがあるはず。このため厳密な標本調査ではありませんが、参考として母比率の差の検定というものをやってみました。

その前に、母数が不明だったので、率が計算されていることから逆にたどり、およそ57,173,557人と推定しました。(多少の誤差はあります。)
それにしても5700万は大きい数字です。僅かな差でも「比率は同じ同じ」という帰無仮説は棄却されてしまいます。仮に1万分の1程度のサンプルサイズとしても、多い4名の率の平均と少ない4名の率の平均で検定すると0.1%でも棄却される(p値=0.003程度)という結果になりました。

もっと少ない所の例として、東京が突出していると聞いたので、1例として新宿区を調べてみました。130,598人の結果です。率では5%、一番多く×を付けられた人は、少ない人の5割増でした(18810人対12252人)。順位は全国の結果とは少し違います。堺、岡田、三浦の三名以外は、二人づつペアで順番が変わっています。

画像4

こちらも上位4人と下位4人で有意な差がありました。(Z=34、p値はあまりに小さくてゼロ)

そこで、渡邉・安浪、安浪・堺、など2人ずつで差が出るかを確認してみました。多い二人、林・深山では、p値=0.44 となり有意な差は出ませんでした。深山・長嶺は差が出るなどがわかったので、それぞれ差が出た所に線を入れてみました。

全国と新宿で入れ替わっている順位は、全て新宿では有意な差がない、と判断された中で起きています。そして11名を4つのグループに分けることができそうだ、という結論できました。
(安浪、渡辺、堺、岡)(三浦、草野、宇賀)(長嶺、岡村)(林、深山)

 「違憲」と述べた宇賀克也、草野耕一、三浦守の3氏の罷免率は6・88~6・71%。7月以降に就任したため判断に加わらなかった岡正晶、堺徹、渡辺恵理子、安浪亮介の4氏は6・24~5・96%と、三つの層に分かれた。合憲とした4氏と他の7氏には0・5~2ポイント程度の差が出た。大法廷は15年の判決で、夫婦別姓を認めない規定に初めて「合憲」判断を示したが、その後の17年に実施された前回審査では、これほど罷免率に差は出なかった。

という分析と結論は似ています。しかし(長嶺、岡村)(林、深山)の差には、何か別の理由があるのかも知れません。