3月21日までの検査数・陽性者数・死亡者数の県別データを眺めてみた

今年1月1日から3月21日までの県別検査数、陽性者数、死亡者数を元に、県別・10万人あたりを基準にデータを眺めてみました。絶対数でなく、人口あたりにすることで、各県の特徴が見えやすくなると思います。

対策等が最良の県は福井県。福井県は感染者数がそれほど少ない訳ではないにも関わらず、そして高齢者率が低い訳でもないのですが、しっかり対策ができていると思います。次が鳥取県。こちらは感染者数をしっかり抑え込んでいて、結果死者数なども少なく抑えている印象です。
その他の県も、数字を並べると特徴が見えてきます。

結果は下記の表をご覧ください。6つ指標が並んでいますが、この間の死亡比率(人口10万人あたり)について降順で並べ替えてあります。ワースト10県を黄色で、ベスト10件を水色で示します。最悪・最良は太字です。死亡比率は、最悪の大阪、最小の福井で41倍もの開きがあることがわかります。致死率でも平均0.2%に対し、最多の高知で3倍近になっていました(表の最後の行参照)。

高齢化率が死亡率に影響しているのではないかということから、高齢者率も記載しています(データは少し古い)。

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・茨城と神奈川の検査数はグレー(空欄)にしました。
・岩手県の検査数の発表が、3月12日以降、データがありません。

ざっとみてわかること:
・大阪は検査は多い、致死率は高くはないが、陽性者が多く死亡が多い。
・高知も検査は比較的多いが致死率が高く死者が多い。高齢化比率も高い。
・秋田は異例。検査が少なく陽性率が異常に高い。但し陽性者数は少ない。
・福井県は陽性者が特に少ないわけではないが、致死率・死亡率全国最少

これらのデータの相互の相関係数です。

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感染比率と死亡比率で0.70、致死率と死亡比率で0.67、陽性率と感染比率で0.62でした。
陽性率が高いと死亡比率も高い傾向があること、検査が多いほど陽性率が低めであることも確認できます。(弱い相関、または負の相関)

表だけではわかりにくいので、いくつかグラフを作ってみました。まず、人口10万人あたりの検査数です。横軸が検査数で、縦軸は、都道府県の数です。(この表の合計は、茨城・神奈川を除いているため45です。)
人口比率で検査が一番多いのは、実は陽性者が少ない(人口も最も少ない)鳥取県で、10万人あたり2.1万人超となっていました。当然、陽性率は最小になります。一方秋田は、陽性者は少ないものの、検査も圧倒的に少なく、島根の1/10程度であることがわかります。陽性率は高いです。鳥取は秋田の9.9倍です(陽性者数は秋田が島根の11倍)。

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続いて人口あたりの感染者数です。

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致死率(死者数÷陽性者数x100)です。

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高知の致死率が約0.6%と圧倒的に高いことがわかります。高知の高齢化率34%でかなり高い県なので、高齢化率との散布図も出してみました(右)。

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左の散布図は、致死率と感染比率です。感染が致死率に与える影響は大きくないようです。(感染が広がれば死者数も増える)

右の散布図が、致死率と高齢化率です。やはり高齢化率が高い方が致死率が少し高い傾向があるように見えます。さらに下のように2つのグループに分けられるような気もします。

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(細かく分析するデータがあれば、何かわかりそうな気がするデータだと感じています。)


最後に、10万人あたりの死亡人数です。

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大阪だけでなく、関西の一部で圧倒的に多いことがわかります。

10万人あたりの死亡者数(死亡比率)は、感染者が多い場合に増えると思われるので、散布図を描いてみました。

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相関係数は0.70でした。この散布図から言えることは、
・大阪および奈良、京都、兵庫の死亡者が多いのは感染者数が多いから
・東京、沖縄、神奈川、埼玉、滋賀は、感染者数の割には死者が少ない
・高知、宮崎は感染者数の割に死者が多い(致死率が高い)
・島根の死者数が少ないのは、感染が抑えられているから
・福井の死者数が少ないのは、致死率が低いから。(検査多く、陽性率も低い。)47都道府県の中で最も良い体制を実現できているのではないか。


以上、県別データを横並びで比較することで、47都道府県の対策状況が見えて来たと思います。