超過死亡・過少死亡の発生頻度をグラフ化

超過死亡・過少死亡は通常、どの位ばらつくデータなのか。通常状態を知らなければ、何かあっても比較対象がないのでわかりません。今回はデータが2017年~2021年9月まで県別に手に入るので、どの位ばらつくものなのかを調べてみました。ソースは日本の超過および過少死亡数ダッシュボードです。

データは、47都道府県毎、1週間毎、想定される死亡者数とその95%信頼区間(上限・下限)となっています。今回は、上限下限に対し、その0.5倍以上、上限下限、1.5倍、2倍、というずれが起きた県がいくつあるのかをカウントする方法をとり、それをグラフ化しました。(今回は県毎のデータなので、人口は考慮していません。)

まず2017年のグラフです。

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横軸は2017年の第1週~53週を表します。(2017年のみ53週、他は52週)

横軸の上(プラス方向)が実際の死亡者数が推定より推定上限の0.5倍以上多かった県の数です。ピンクは0.5倍以上1倍まで、オレンジが1倍以上(つまり超過死亡)です。さらにその上に見える濃い色がより深刻な超過死亡が起きた県の数になります。

一方横軸の下(マイナス方向)は、推定下限の0.5倍を超えて死亡が少なくなった県の数です。グレーは0.5倍以上1倍まで、青が1倍以上(過少死亡)です。それ以上は濃い青で示しています。

±0.5倍に収まっている県の数はここに含まれませんので、それぞれ軸の上下幅が小さい時は、推定値に近い数が得られていることを意味します。

2017年は、死亡者が少し推定より多かったようです。超過死亡は216回、過少死亡が52回でした。頻度は超過が9%、過少が2%ほどです。(頻度は、52週×47都道府県を分母としています。但し2017年は53週)

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2018年は、死亡者が春先まで推定より多く、その後は推定より少なかったようです。超過死亡は198回、過少死亡が142回でした。暖かい時期は、上下の幅も比較的小さく、予想がかなり的中していますが、年間では超過が8%、過少が6%ほど起きています。

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2019年は、超過死亡は119回、過少死亡が142回でした。頻度は超過5%、過少が6%です。

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2020年は、超過死亡は74回、過少死亡が366回でした。頻度は超過が3%、過少が15%です。2020年は、コロナが始まったにも関わらず、特に前半の過少死亡が目立っています。

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最後は2021年です。2021年は、超過死亡は27回、過少死亡が16回でした。9月までの数字なので数は少ないですが、頻度で言うと、それぞれ18%、2%程度です。

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文章で書いた部分(超過・過少の数と頻度)を表にしました。超過と過少のぶれが起きる頻度がなんとなくわかる結果となりました。そして2020年は過少、2021年は超過がこれまでより多いことがわかります。

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そして全部を並べて目立つのが、やはり2021年第16週(4月18日~)に突如、推定値からの上振れが多くなっている点ですね。明らかに何かおかしい。

多くの人が指摘していると思いますが、2021年春に何があったのか。ワクチン接種後の魔の2週間と言われる時期と関係があるのか。今後はこれを調べたいと思っています。(しかし、細かな接種人数のDBですぐ使えそうなものが見つからない・・・)