分解して因果関係を考えよう

証明はできなくても、物事がなぜ起きているかを把握するには、起きていることを分解して、原因と結果の関係を推測するのはとても大事なことです。そこで最近の新型コロナウイルス拡散拡大について関係性を考えてみました(個人的な見解です)。全体としては以下の図のように、感染者を抑えようとする施策があり、失敗すると右上の負のスパイラスになるだろう、と考えています。

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少し複雑に見えるかも知れませんが、最も重要なのは下記のとおり。感染者増加は結果であって、その原因は接触機会が増えたこと、そして感染者の把握が十分にできなかったことに尽きると思います。

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感染者が増えるとさらに感染者の調査が不十分になり、ますます感染者数が増えてしまうことになります。つまり感染者数が増えることは結果であると同時に、別の事柄の原因にもなります。この単純な構図を理解すれば、感染を拡大させないために何が必要だった、何が問題だったかがわかります。

しかし今起きていることの問題の本質は、そもそもの目的をどこに置くかがずれていることのように見えます。


今、酸素ステーション云々を、という話は、負のスパイラルの中での医療が提供できなくなって起きた課題の1つを何とかしようとする施策にすぎません。保健所が行う業務を減らそうとする試みも同じ位置づけです。また「ワクチンが切り札」という発想にも問題があります。実際にどの程度感染者を減らせるのかわかっていません(※)。逆にイスラエル、イギリスの感染者増加が顕著になり、ワクチンによる感染者数の抑え込みは絶望的になっています。抗体が数か月しか持たないこともわかってきました。そしてどんなに医療体制を充実できたとしても、新規の感染者数を減らさない限り、出口はないはずです。

一方、GoToトラベル、オリンピックが人流を増加させ、気のゆるみを生じさせ、人々の接触の機会を増やしたことに疑いの余地はないでしょう。PCR検査抑制論も十分な感染者調査を阻害しました。空港での水際対策にPCR検査よりも感度が劣る抗原検査が行われているため、本来ならば見つかるべき人を見逃している可能性があります。そして見逃された無症状者は安心して市中で活動し・・・

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つまり目的を「感染者をこれ以上増やさない」「新規感染者を減らす」としなければ、感染者数の指数関数的増加は避けられません。どんなに負のスパイラルの中で対策を行っても、医療体制の指数関数的拡充はできないので、破綻は避けられないのです。やるべきことは、感染者がこれ以上感染を広げないようにすること。それ以外、方法はありません。

そして検査による「感染者を減らす/拡散を抑制する施策」では新規感染者を減らすことに結びつかなくなったら、できることはただ1つ。ハードロックダウンだけです。


※:ワクチンで感染者を減らせるか。そもそもの「ワクチンの有効性」の数値は、(感染者数ではなく)発症者数の減り具合で計算されます。このためそもそもワクチンで感染を減らせるかは、きちんとした調査を待たねばならない状態です。さらに当初は実際に感染も減らせると示唆されましたが、最近はその効果があまり持続しないとの調査もあり、イスラエルなどでは3回目の接種が検討されています。少なくともワクチンだけで感染を抑止するのは難しくなったというのが共通見解になりつつあります。