「ワクチンの効果が弱まる」の意味は?

尾身会長:「全く効かないということはなくて、このワクチンは基本的にはよく効くワクチンだと思いますけど、少し効きが弱まっているということもあるので」

これは7月の発言で、これはデルタ株に関する評価です。しかしこれ以降、タイトルに書いたような表現をよく耳するようになりました。最近はオミクロン株に関しても使われています。だから急ぎ3回目接種が必要だ、という枕詞として。

これはどんな意味を持つのでしょうか。個人的な見解ですが、2つのポイントで考えてみようと思います。

まず前提。
・ファイザーもモデルナも、ワクチンの有効性は数か月で極端に下がる
・ファイザーもモデルナも、変異株に対して有効性が低い可能性がある
としておきます。

(1)効果と有効性の違いは?

ここではあえて、「ワクチンの有効性」と「ワクチンの効果」を区別して使いました。実際、厚労省の資料(分科会資料)では、これら2つの意味を使い分けています。「ワクチンの有効性」は、厳密に定義されています(但し発症・発症などの指定が必要)。一方、「ワクチンの効果」はきちんとした定義がないように思います(あれば教えて下さい)。有効性と同じように使ってみたり、「ワクチンの感染予防効果」のような一般的な形で使われているようです。

という前提で考えると、「ワクチンの効果が弱まる」ということで、厳密な定義から逃げているように感じてしまうのです。「効果が弱まる」と言っている限り、感覚に訴えるだけの説明に終始できます。

一方「ワクチンの有効性が低下した」と言うなら、では有効性は当初言われていた95%から何%まで下がったのか、と定量的に説明する必要が出て来ます。

つまり「効果が弱まった」は定量化できず、たとえ逆効果になっても、ずっと「弱まった」と言い続けられます。一方、定量的な値で表現される「有効性が下がった」であれば、具体的な数値としてマイナスまで下がった、ワクチンは逆効果だ、と説明できます。(すでに一部でマイナスの有効性を見かけるようになりました。)


(2)「弱まる」のは時間経過の影響?、それとも変異株の影響?

接種後の時間経過も変異ウイルスも、ワクチンの有効性を下げるようです。

最初は、時間経過とともに有効性が低下する、だから3回目、という流れの説明が中心でした。この説明は納得できます。(仮に副反応を気にする必要がないなら。そして有効性が長いかのような説明をしていたことを不問にするならば、という前提で)

しかし最近は、オミクロン株の感染力が強調されています。それでも3回目を!という流れは、どのような論理展開なのでしょうか。
   時間経過で効果が下がった、オミクロン株が蔓延しそうだ、
   だからワクチン接種を急げ!

ということなのでしょうか?「弱まる」が何かを考えさせないような流れを作り出しているように感じています。

本来は、
  「時間が経つとワクチンの有効性が下がる
  「変異株に対応して有効性が下がる懸念がある
を別々に理解する、そのうえで流行を加味しながら、どのワクチンを何時のタイミングで接種するかを考える必要があると思います。


私たちの対策としては、「弱まった」を感覚的に理解せず、何が弱まったという意味か、何と何を比較して弱まったと言っているのかを調べること。最低でもこの部分は押さえたいですね。