現在患者数と定積分

ある政治家が「微分積分いらない」と発言したとか。いや、微分も積分も大事です。使っていることに気が付かないか、知らないだけだと思いますよ。ということで、今回は現在患者数(または「入院治療等を要する者」)が実は積分の概念で理解できるという話です。

まずこの「現在患者数」「入院治療等を要する者」はそれぞれ、
https://www.stopcovid19.jp/ https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
で使われています。意味するところは、
   検査陽性者数の累計 ー 退院者累積 ー 死亡者累積
でしょう。

ということで、「累計」という言葉が出て来ました。この累計は、区間(期限)を区切って足し合わせるものですね。これを数学で正確に、コンパクトに表現すると ∑ (総和)を使った式になるわけです。そして定積分の概念は、この総和とほぼ同じです。


では実際の陽性者などのデータを眺めてみましょう。

陽性者は毎日発表されています。

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左はよく見る日々の陽性者数。週末ごとに発表される陽性者数が減っていることがわかります。右は累計です。当然累計は増え続けています。(左を積分すると右のグラフ、右を微分すると左のグラフ、という関係になります)


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次はどの位の人が回復したのかという情報です。回復する人も、勿論増えています。(左8月20日頃のような突出した値が出るのは、多くの場合は集計遅れの影響です。詳細は未確認。)

では、続いて「入院治療を要する者」です。

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「入院治療を要する者」は、陽性者累計から「退院・療養解除」と死亡者数を引いたもの。(死者数は相対的に少ないので)グラフとしては、ほぼ、一番上から2番目を引いたものになります。


長々と書きましたが、「累計」がわかれば、検査陽性者数がピークになった後、「入院治療を要する者」の数がピークを迎える、ということがわかると思います。今回の第5波では、陽性者数のピークは8月20日、「入院治療を要する者」のピークは9日遅れていました。

つまり、感染者が減ったから、すぐに医療体制に余裕が出る訳ではない、ということですね。