グラフから情報を読み解く

今回は基本に立ち戻って、グラフの読み方を考えてみます。グラフはただの模様ではないので、いろいろ理解できると思います。(数学苦手という人向け)

まず下のグラフを確認しましょう。最近までの日本の人口の推移です。

画像1

1945年頃に大きな落ち込みが見えます。これは戦争の影響でしょう。良く見ると、その他にも特徴があることがわかります。

1972年頃:矢印で示したあたりです。それまでの伸びとは異なることがわかりますか?その前・後で伸び率はほぼ変わらないにも関わらず、ギャップが起きています。この年に、急に人口が増えたことが読み取れます。下のグラフは、上のグラフの一部を拡大し、補助線(赤点線を2本)を入れたものです。(赤点線はほぼ平行)
この頃、日本で何がおきたか。知っていれば答えは推測できるはずです。沖縄返還ですね。元資料では答えは注釈にあります。つまり1945~71は沖縄を含んでいません。(グラフを読むときの注釈は重要です)

1937年頃:下のグラフでは、左の緑と紫の補助線があるあたりです。この頃、グラフの傾きが変わっていることを読み取れますか?人口の増加のスピードが急に落ちたと読めます。何があったのでしょうか?1937年と言えば、昭和12年。盧溝橋事件などが起きた時期です。出生が減ったのか、出征で人口が減ったのか。(私はこれ以上は何も言えないのでここまでにします)

画像3

グラフから意外に読み解けることがあることがわかって頂けたでしょうか。

しかし、少し加工するともっと読み取りやすくなったり、より細かなことがわかる場合があります。下のグラフは、人口の数値ではなく、増減を示したものです。(つまり微分)

画像2

1972年頃の沖縄返還の影響は、鋭いピークがたっている形で良くわかります。1937年頃は人口増加が急に鈍ったので、このグラフで見ると1941年頃までの数年は増加が少なかったことがわかります。

しかしこのグラフから、さらに細かな事柄が読み取れます。

恐らく1943年頃は、「産めよ増やせよ」と言われていた時期。非常に短期間に人口の増加スピードが上がりました。

戦後1955年頃まではベビーブームで事項の増加が顕著、1971~74年は第二次ベビーブーム。その後は増加数は減り続け、2010年頃にマイナス(人口減少)になった。

ところで、1966年に1年だけかなりの落ち込みがあります。これは何でしょうか?知っている人はすぐわかりますね。丙午(ひのえうま)です。

このように、グラフだけからでもとても多くのことを読み取れます。一次微分のグラフがあれば、さらに多くのことがわかる可能性があります。(慣れれば、1次微分のグラフを想像することもできる場合があります)


このような説明をしたのは、今の時代の新型コロナウイルスで見かける様々なグラフを読み解くことにつながるからです。トレンドの変化をいち早く確認できるようになるでしょう。そして「新型コロナ陽性者数の推移の読み方と、8月初めに日本で見られた不思議な傾向」は、この応用でした。