飲食店でのクラスター減少は、蔓延防止等重点措置の結果と言えるのか?

蔓延防止等重点措置がすべて解除されるとのこと。岸田首相は飲食店でのクラスター削減に効果はあった、と主張していますが、本当に効果があったと言えるのでしょうか。

私にはデータがないのでわかりません。しかし、「オミクロン株が蔓延した当初は飲食店でのクラスターが報告されていたが、最近はほとんど報告されていない」、というだけであれば、効果があったとは結論できません。これだけでは、効果があったかも知れない、なかったかも知れない、わからないはずです。効果があったと言うには、比較が必要です。

確認すべきは、蔓延防止等重点措置の適用有無で、飲食店クラスター発生状況に差があるか、です。適用開始時期で比較、適用されなかった地域で比較、などいくつかのパターンが考えられます。なお、適用がなくても飲食店クラスターが減っている点は、前提としてとても重要です。


クラスターの分析データに関しては、「新型コロナウイルス感染症対策分科会(第 14 回)」という2022/3/11の資料があります。

例えば、全国ベースでのクラスター分類があります。

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確かに飲食店クラスターは非常に少なくなっています。しかしこの少なさが、蔓延防止等重点措置に関係しているかは、これだけではわかりません。そこで、資料では2つのグラフが続きます。

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恐らく、1月9日から適用された地域では、すぐに飲食店クラスターが減っている。1月21日に適用された地域でも、適用後すぐに減っている、ということを言いたいのでしょう。

これだけ見ると、「適用⇒減少」となっているように見えます。しかしこれだけでは、典型的な交絡の可能性があります。

例えば、
・オミクロン株は飲食店から広がり、その後は飲食店クラスターは減る
・飲食店から始まった感染は家庭などで爆発、陽性者数が急増する
・感染が早く広がった地域ほど、先に適用になった
としましょう。「増加⇒適用⇒減少」となっているだけで、適用がなくても「増加⇒減少」となっていた可能性は十分ある訳です。上の2つの比較(1/9と1/21)だけでは、結果を見ているだけで原因は何もわかりません。適用がなくても減少する訳ですから。。。


ということで、少なくとも、蔓延防止等重点措置が飲食店でのクラスター減少に効果はあった、という結論できる情報はみつかりませんでした。
(勿論、見つからなっただけで、データがある可能性はあります。)


なお、行動変容を促すアナウンス効果はあった可能性はあるかも知れません。(未確認、再拡大が始まっている所もあるので要注目。)


参考:2022年1月~3月の間に、蔓延防止等重点措置が全く適用されなかったのは、岩手、宮城、秋田、富山、福井、山梨、滋賀、奈良、鳥取、徳島、愛媛の11県です。