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VR能「攻殻機動隊」とアルトデウスBCの共通点

初めまして。日本中でVRムーブメントを起こすべく、VRゲームを企画・開発するスタートアップMyDearest株式会社の財務統括をしている若尾(@takumiwakao)です。

先週末にVR能「攻殻機動隊」公式サイト)を池袋の東京芸術劇場で見てきました。今回はそのVR能の感想と、MyDearestが12/4に発売したVRゲーム「ALTDEUS: Beyond Chronos」の発売直前イベントで柏倉監督が語った話について感じた共通点を話したいと思います。

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攻殻機動隊は特にS.A.C.シリーズは私の一番好きなアニメといっても過言ではなく、SAC以外の映画・アニメシリーズも大体見ています。そんな自分がたまたま攻殻のVR能の記事を見て、VR能というパワーワードが気になりすぎて気が付いたらチケット買ってました。「VR」と「攻殻」は分かるものの、「能」は1回も観劇したことがなくて、ナンモワカランという状態です。

事前情報ゼロで観に行ってみた

能の知識ゼロでも本編の能を楽しめるように、本編の前には、ナレーション(CV. 下野 紘)で、VR、能、攻殻についてそれぞれ解説してくれました。

・ここでいうVRとは、ゴーグルを被るものではなく、仮想現実という日本語の意味に即し、そこに存在しないもの(現実ではないもの)を、あたかもそこにいるかの様に(現実であるかの様に)錯覚するという様な意味で使っている。本公演では、VR技術「Ghostgram」や光学迷彩などの様々な最先端技術により、世界初のVRメガネなしで仮想現実空間を実現する。
・能は700年近い歴史を持ち、古今和歌集や源氏物語など古典文学を題材としたものが多く、今は250曲が現行曲として受け継がれている。古典をベースとしない能は、明治期以降から作られるようになる。今回の演目は夢幻能というジャンルに属する。
・攻殻機動隊では、作中で能楽に対する引用も多くみられる。イノセンスでは、世阿弥の「花鏡」の有名な一節「生死去来、棚頭傀儡、一線断時、落落磊々」を引用していたり、S.A.C.2ndGIGの「個別の11人」でも、五・一五事件を能楽と照らし合わせ評論したものであるとされたり、三島由紀夫の近代能楽集から引用されたりなど。

能の本編の話はネタバレになるので割愛しますが、最初は光学迷彩とかどうやってるんだろうとか、技術の話ばっかりに目が追ってました(一応理系なので)が、途中から能楽師の立ち振る舞いやその一挙手一投足の美しさに技術のことは頭から離れてました。とにかく観ろ!そして感じろ!としか言いようがないです。

また、本編が終わってからは、アフタートークとして、演出を担当した映画化監督の奥秀太郎氏、馬頭(バトー)役を演じられた観世流能楽師である川口晃平氏(@ottsumakuttsu09)、映像技術の福地健太郎氏(明治大学教授)、ゲストとしてシンガーソングライターの春ねむり氏(@haru_nemuri)が迎えられて、制作秘話だったり演出のポイントなどを語ってくれました。

特に、能楽師である川口さんの話はどれも興味深く、今回VR能の台本を作るにあたり、原作の漫画を中心として、まず現代語で脚本を作り、そのあと川口さんが古語に直すという順で作られたそうです。「ネット」は「電網」という言葉に直したり、という具合ですが、ある一つの言葉だけは古語に直せなかった(直さなかった)そうです。そのただ唯一の言葉とは、何か。攻殻機動隊をご存知の方ならお分かりいただけるかと思います。

また、新作の能であるため、川口さんが謡の唄い手の方にどのように唄ってもらうかを伝えるのに苦労するかと思いきや、ほぼ全てのシーンは、古典250曲のうちから、「あの曲のこのセリフの感じで」、というのが伝えられたそうです。700年前の古今和歌集や源氏物語と、現代のハードSFである攻殻機動隊でも、人間の感情の描写やその表現の根底にあるものは変わらない、というのが個人的に刺さりました。

VRインタラクティブストーリーアクション「アルトデウスBC」との関連性について感じたこと

そしてタイトルの、VRゲーム「アルトデウスBC」が、どう関連しているか、お話させてください。実は12/3に発売直前イベント、VR of VICTORY 2020として渋谷でイベントを行いました。


そこで本作ゲームについて柏倉監督や総合プロデューサーきしけんにも語って頂いたのですが、監督が唯一台本の進行にない発言をしたんですよね。それが、「マシンや、SFの未来の話の設定などが正面には出てくるものの、一番やりたかったのは、人間の心の話」という言葉です。そしてイベントの最後の挨拶でも、「主人公であるクロエが、親友のコーコを失い、その復讐のために生きているクロエがどう変わっていくのか、そしてプレイヤーがそこでどんな選択をするのか」ということをポイントとして挙げています。

私は、監督のこの言葉を聞いて、300年後の世界、そして主人公がたとえ作られた”Desined”だとしても、人間の根底の感情っていうのは今と大きく変わらないんじゃないか、というメッセージだと解釈しました(全く個人的な解釈です)。VR能 攻殻機動隊を観たときも同様のことを感じてます。700年前の古典での表現も、今でも同様に共感できるし、300年後の話だって結局は人間と人間のストーリーなんだと。つまり人間がDNAレベルで持ってる感情に訴えかけてるんです。

では、どうやってそのDNAレベルの感情にうまく伝えられるだろうか

コミュニケーションのテクノロジーは進化してきました。手紙からメール、携帯電話など、テクノロジーの発展がコミュニケーションを促進してきています。総合プロデューサーのきしけんの過去のnoteでは、テクノロジーの発展により、人はより共感できるようになり、優しくなれると語っています。そして今最先端なのがVRであり、VRは超共感であると語っています。

私は、創作物(物語)とVRは非常に強い同じ力を持つと思っています。
それは、「人をより優しくする力」です。
先ほどご紹介したVRエヴァンジェリストのGOROmanさんや、同じくVR界のパイオニアの桜花一門という方は、「VRで人は優しくなれる」と、あるVR開発者の集まりでおっしゃりました。

VRというテクノロジーが、感情に訴えかける力は強く、だからこそDNAレベルの感情に訴えかける手法として、我々はVRでのインタラクティブなゲームを選んでいます。今回のALTDEUS: Beyond Chronosという作品は、そんなDNAレベルで共感できる人間の物語を、現時点で一番伝えやすいVRというハードを通じて体験して頂く作品です。

VR機器としては、Oculus quest 2というハードがFacebookより発売され、値段も37,180円と手頃になりました。また、今回のハードから日本の家電量販店でも売られるようになり、手にしやすいかと思います。

まだ多くのVRゲームが体験やアクション重視で、大人には正直疲れてしまうようなインスタントなゲームが多い中、上記アルトデウスは、人間の心に訴えかけるゲームで、そこまで動きは無いので、VR慣れのためのまず始めの作品としても良いと思います。

今週の金曜日12/4に発売され、ストアレビューの数も前作東京クロノスを抜き、かなり高評価をいただいています。興味を持っていただけたら是非!

そしてVR能 攻殻機動隊もぜひ!コロナ禍の影響もあり、まだ東京では次の再演がアナウンスされていないかと思いますが、演出の奥氏は、この作品を大事にしていきたいと仰ってましたので、また次の機会があると思います。そして回を重ねるごとに技術も進化していってる様なので、そこも注目ですね。
ちなみにパンフレットが非常に面白くて、裏から読むと謡本となってるんですよね。セリフも全部わかるので、またこれ読んですべて分かってから2回目見るのも面白そうです。

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あと観劇に行く前には、バトー役の観世流能楽師である川口晃平氏のブログを見ても参考になると思います。この能楽師の方めっちゃ面白かったです。

では長くなってしまったのでこの辺で。これが初noteになりましたが、ちゃんと財務統括として財務の話とかバックオフィスの話のあれこれとかしたいんですが、また次の機会にします。

#VR能  #VR能攻殻機動隊 #アルトデウスBC

アルトデウスBCの公式サイト



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