Ep.64の

「Over the sun」にて「プラダを着た悪魔」の話題が出ていたので改めて考えて気が付いたことがいくつかあった。以前見たときには一切面白さが分からず、横暴な態度やそこに成り立つ業界の在り方などに不快感が募るのみであった。ただこの点に関して主題を変えて考えるとファッション業界だから一切共感できる要素がなかったのであり、仮に宮本茂さんや桜井政博さんの側に付けるとしたら、またはヴェルディに関わることができるとしたら。自分であったら内容問わずまずはやりたいと思うだろう。映画内で変わりはいくらでもいるといったような発言はそう思えば納得がいく。

それでもいい映画とはやはり思えない。「Over the sun」で映画内の会社の在り方を「軍隊だから」と形容していたが、一般にそのような団体があること自体は良いが、周囲がそれを認め評価してしまうことに問題に思う。観た後にどのような感想を抱いているのかは様々であるにせよ、制作から時代を超えて実在の人物と会社をモデルとしたこのタイトルが有名である事が評価を得ている証拠であろう。突出した才能の持ち主というのは確実に存在するだろう。ただその才能をどのように位置づけるかを周囲も本人も意識しなければ独善的にも独裁的にも信仰的にもなっていきそうで、関心の有無で分断が生じる原因にもなるのではないか。住み分けならよいが、排他的な閉ざされた世界の中で完結してしまうのが社会として不健全にも思えてしまう。そんな社会学的な分析があるのかどうか分からないけれど、自分の目には信仰で判断力を失わせた独裁権力のように見えてしまった。

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