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 前回、ふじみ野市の出生率が近年、低下しており、また、減少率が、近隣自治体や埼玉県と国の平均より大きいと指摘しました。ここでは、有配偶率、平均初婚年齢、出生順位別合計特殊出生率、有配偶出生率について近隣自治体や国、県平均と比べて、ふじみ野市の特性を確認しましょう。
 ちなみに結論から言えば、「有配偶出生率が低い」ことがふじみ野市の特性と言え、出生率低下の大きな要因と考えられます。

 出生率(出生数ではありません)に関係する指標として、まず、結婚に関する指標が挙げられます。これには有配偶率、平均初婚年齢が挙げられます。性・年齢別にみた有配偶率、平均初婚年齢の推移を、他地域と比較するというものです。これにより、ふじみ野市の特性が見える化されるわけです。

【有配偶率】 下の表は、有配偶率(日本人女性)を記したものです(令和2年)。未婚、死別、離別、不詳を除いたもので、ふじみ野市の全女性のうち、配偶者がいる方の率は、57.506%です。出産の年齢として、15~49歳までを計算の対象とします。5歳ごとの年齢層となっています。ふじみ野市は20~24歳の配偶率が5.761%、25~29歳が32.447%、30~34歳が63.648%、35~39歳が75.295%、40~44歳が76.486%、45~49歳が73.684%です。
 隣の富士見市、川越市と比べると、ほとんどの層で高くなっています。

 では、市女性の有配偶率は57.506%でしたが、出産適齢期(15~49歳)の有配偶率はどうでしょうか。
 ふじみ野市の同年齢期の有配偶女性は11202人です。同期の女性数は、22329人ですので、有配偶率は、50.2%となります。富士見市は47%、志木市は51%、朝霞市は52%、川越市は49%、県は49%、国は48%です。この対象の中では中位でしょうか。低いということはないようです。
 
【平均初婚年齢】下の表の左部分は、ふじみ野市男性と女性の平均初婚年齢を示しています(平成30年)。男性は32.3歳、女性は29.7歳で、他の自治体や国、県平均と比べて、男性が1歳ほど高く、女性はほぼ変わりがないようです。

 次に出産に関する指標です。出生順位別合計特殊出生率、有配偶出生率が挙げられます。これらの数値を他地域と比較するというものです。
【出生順位別合計特殊出生率】上の表をみてみましょう。出生順位別合計特殊出生率とは、第1子、第2子、第3子の出生率です。このデータは、平成25~29年、2013~2017年の平均であり、近年のものではありません。ふじみ野市は第1子、第2子の出生率が国、県平均と比べて高いですが、第3子は、国と比べて低くなっています。第3子が低いのは、晩婚を除けば、経済的要因や母親の労働環境が影響している可能性が考えられます。

【有配偶出生率】そして有配偶出生率です(上の表、令和2年)。出産適齢期女性の有配偶者の出生率なのですが、ふじみ野市は63.5で、他の自治体や国、県平均より低くなっています。これも、晩婚を除けば、経済的要因や母親の労働環境が影響している可能性が考えられます。

 有配偶出生率は、近年注目されている指標です。これは、国の数字ですが、2015年くらいまでは、有配偶出生率は、「出生数」の増加要因でした。しかし、それ以降、出生数の減少要因に変わっています。本市においてもここは注目すべきと考えます。つまり、出生数の主な押し下げ要因になっているのではないかと。少子化の要因は非婚、晩婚というものがありました。そもそも、現役世代の数が減っているという人口要因というものもあります。ただ、2015年以降は、増加傾向にあった有配偶出生率がマイナスに転じ、これが少子化に拍車をかけているというのが近年、指摘されているところです。国でいえば出生数減少率が年平均2%前後であったのが、2015年以降、3%台になった主因と指摘されています(ちなみに押し下げ要因としての非婚は、2010年以降、比率は低下あるいは変化が小さくなっています)。
 
 ふじみ野市の少子化の特性としては、有配偶出生率の低さが挙げられます。若い世代や子育て世代にアンケートをとり、意識や原因を探る必要があります。考えられるのは、女性の働く時間や家事の時間、世帯の収入、将来推定収入、子育て環境(出産休暇など出産、育児に配慮した労働環境や子どもを預けられる環境)などで、パートナーや企業の理解、配慮、資格・技能取得による収入増加、預かりサービスの拡充が有用と考えます。住居費など現金給付をとっている鳥取県では、出生率が向上しており、こうした下支え策も有用と考えます。


 
 

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