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市の民間事業への後援について、議会で質問しました

 ふじみ野市議会の3月議会で、一般質問を行いました(3月8日)。質問の五番目は、「民間事業への後援」についてです。
 問題をわかりやすく言えば、「左派勢力が政治的な内容(自公政権の政策を批判)の映画を市内で上映しているのですが(それ自体は表現の自由です)、ふじみ野市、同市教育委員会が、後援をしている」ということについてです。
 以下、私の質問です。

 通常、民間事業について、自治体が後援を行う場合、後援の承認を与える上では、いくつかの要件が挙げられています。例えば、「事業の趣旨に賛同する」「公益性が高く、教育・文化・学術・スポーツの向上及び普及に寄与すると認められる」「市の政治的中立性を損なう恐れがない」などです。一つ目の質問です。市が後援を行った映画「教育と愛国」(2月4日と5日、上福岡図書館で上映)ですが、この映画は、2006年の教育基本法改正とその後の教科書検定制度を批判した内容と受け取れますが、市が賛同したと理解される、この映画と上映活動の趣旨とは何でしょうか。
以下は「教育と愛国」のホームページやチラシ(市広報掲示板に掲示)の中の文章です。

いま、政治と教育の距離がどんどん近くなっている。

軍国主義へと流れた戦前の反省から、戦後の教育は政治と常に一線を画してきたが、昨今この流れは大きく変わりつつある。2006年に第一次安倍政権下で教育基本法が改変され、「愛国心」条項が戦後初めて盛り込まれた。

2014年。その基準が見直されて以降、「教育改革」「教育再生」の名の下、目に見えない力を増していく教科書検定制度。政治介入ともいえる状況の中で繰り広げられる出版社と執筆者の攻防はいま現在も続く。

本作は、歴史の記述をきっかけに倒産に追い込まれた大手教科書出版社の元編集者や、保守系の政治家が薦める教科書の執筆者などへのインタビュー、新しく採用が始まった教科書を使う学校や、慰安婦問題など加害の歴史を教える教師・研究する大学教授へのバッシング、さらには日本学術会議任命拒否問題など、⼤阪・毎⽇放送(MBS)で20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加尚代ディレクターが、「教育と政治」の関係を見つめながら最新の教育事情を記録した。

教科書は、教育はいったい誰のものなのか……。

 二つ目の質問です。この映画はパンフレットには、「2006年に教育基本法が改正され、「愛国心」が戦後初めて盛り込まれた。以降、教科書検定制度が目に見えない力を増していく」などと書かれています。この教育基本法改正や教科書検定制度の実状には、国民市民の間で異なる意見が存在するのは事実です。一方、公務員は本来、教育基本法を含む国の法令を守る義務があります。また、こうした意見の分かれる政治的内容の主張見解について、後援という措置を取ることは避けるべきと考えます。鎌倉市などでは、「世論の分かれる事象において、特定の主義主張を推進し、若しくは支持し、またはこれに反することを目的とし、市の中立性を損なうおそれがない」ことを後援承認の要件としています。同様の要件を本市でも採用すべきと考えますが、市の認識をうかがいます。

「教育と愛国」のチラシ。映画自体の上映は自由ですが、自治体が後援することには疑問。

市の回答は要旨以下のとおりです。
○(賛同の趣旨)後援の承認にあたり、内容を予め詳細に確認するといったことはしていません。後援は映画の内容に賛同したという趣旨ではありません。「映画を上映する」という事業に賛同しました。
○(続き)意見の分かれる問題について人々が自由闊達に議論する経験を重ねることにより、政治に対する関心が高まるとともに、ひいては民主主義の成熟にも資すると判断しました。
○(承認要件の変更)鎌倉市のように「世論の分かれる事象において、特定の主義主張を推進し、若しくは支持し、またはこれに反することを目的とし、市の中立性を損なうおそれがない」などを承認基準に加えた場合、事前に事業の内容を詳細に調査する必要が生じます。そうなりますと、本市が行っている後援の「議論はあってもよい」趣旨が変わることともなり、事前に映画の内容を深く踏み込んで調査し、「問題なし」と判断した上で後援するということとなりますので、「後援の在り方」について改めて検討したうえで、必要であれば、規定を見直すことにもなろうと考えます。 

【私の意見】「映画を上映する事業」にはすべて賛同するわけはないことを、再質問で確認しました。(続き)のところの内容は、地方自治の本旨と離れた内容で、残念です。
 実際、これまでの経緯もあり、市で、苦心されていらっしゃる方が少なくないのは最初から理解しております。そうした良識ある方々と、後援についての適正化をともに進めていきたいと思います。


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