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 市役所などへ行くと、高齢福祉関係の部署の前に「成年後見人」と書いたチラシが置いてあることがあります。成年後見人とはどういったものでしょうか。
 成年後見人とは、判断能力が低下した成年の財産を本人に代わって管理するひとのことを指し、家庭裁判所での手続きを経て、なる仕組みになっています。現代では認知症になる高齢者が増えており、こうした方の財産を管理する必要上、制度の利用者が増えているのです。成年後見人には、法定後見と任意後見の二種類があります。具体的なケースで、制度を詳しくみてみましょう(なお、後見制度には、判断能力の程度によって、後見、補佐、補助と三種類あります)。
1.本人が既に認知症
 本人が既に認知症である場合、本人の家族(四親等内家族)が家庭裁判所に後見人選任の申立をします(診断書や財産の書類が必要)。法律上は、本人も申立が可能ですが、準備書類や家裁とのやり取りなど困難が予想されます。手数料は34000円(収入印紙)~となっています。申立から、審判確定(後見人の選任)まで1~2か月かかります。
 後見人を誰にするかは、裁判所が決めます。家族が選ばれる確率は2割程度とされます。弁護士などの専門家が選ばれることが多いようです。
 後見人には報酬が発生します。最低でも毎月2万円以上とされています。後見人は、途中で止めることができません(本人が判断能力を回復した場合は可能)。

2.本人が判断能力がある
 本人がまだ元気なうちに後見人を決める任意後見という制度があります。 
本人が信頼できる相手(任意後見受任者)に、判断能力低下後の後見を頼む形になります。
 本人と任意後見受任者は、判断能力低下後の財産の管理について契約書を作成します(内容は自由)。この契約書を公証人制度を用いて、公正証書とします。公正証書手数料は、受任者1人につき、11000円です。
 本人の判断能力が低下したら、受任者は、診断書を取得し、家裁に後見人選任を申立てます。同時に、任意後見監督人選任の申立てを行います。
任意後見人は、任意後見監督人の指示に従い、事務(契約内容)を行い、定期的に報告を行います。
※預貯金が500万円以上ある場合、裁判所から信託制度利用を促される場合もあります。

 後見人を利用する場合、後見人や後見監督人への報酬が発生するため、富裕な方が対象と考えられがちですが、この報酬の支払いについては自治体の補助制度もあります。
 

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