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電波少年Wはネットコンテンツである。 いやこれからネットコンテンツのつもりで作る!


電波少年Wが1月16日に始まって1ヶ月が経った。いや「1ヶ月が経った」という言い方が放送コンテンツの言い方でネットコンテンツの言い方ではない。
放送コンテンツとは長年テレビ局が番組として作ってきたもので「一回決まった時間に放送したらハイ終わり」というものだ。だから[収録本番]に向かってあらゆる力が注がれるし[放送本番]に向かって残り時間で何ができるのか何ができないのか?秒単位で追い込んでいく。そして放送終了とともに全て終わり。次の放送に向かって意識は切り替わる。
一方ネットコンテンツは例えばYoutubeにアップするのでも「大体毎週この曜日のこの時間」が決まっているのであってはじまるのが何時何分何秒という厳密さはない。何時何分何秒に終わるもない。大体このくらいの時間で、が決まっている。Netflixでもそう。1話大体1時間くらい、と決まっているくらい。
放送しかない時は気がつかなかったが重要なのはスタート時間でも長さではなくて「見る側が自分の都合のいいタイミングで見る」ということであったのだ。ネットにも出るようになって、わかっているつもりでも放送コンテンツだけを長年作ってきたものはこの習慣が抜けない。例えば事前P Rに放送屋は執着する。『何月何日何時に始まります!』何度も何度もそこが大事とコールする。そこで見てもらえるかどうかが勝負どころだったから。しかしネットコンテンツの作り手はそこに執着は驚くほどしない。それよりも『チャンネル登録をして次回以降アップしたらお知らせが行くようにしてください』をできるだけ何度もコールする。
システムの違いだが、このことを体感でわかるようになるのに時間がかかる。例えば「見逃し配信」をTVerで2週間という期間でやっているが、この言葉通り「見逃し」である。本来は放送時間に見てほしいものであるが「見逃し」してしまった人のために特別に2週間置いておきますね、ということである。
もちろんネットコンテンツはそんなことはない。だっていつどのタイミングで「あ、これ面白い!」と気づいてくれるか分からないからだ。でその気が付いた人が「他のエピソードを見てみよう」と思った時に次から次に見てくれて「あ〜やっぱりこれ好きだなあ」と思ってくれて、最新作の配信を心待ちにしてくれるという流れを前提としているからだ。
コンテンツを享受する側の都合でネット上に置いてあるものを好きなタイミングで見てもらうが今のテクノロジーでできる望むべき形で、そこに旧来の放送コンテンツがテレビ局のビジネスモデルとの都合で今そうなっているのが「見逃し」という形である。だからこれは最終形ではない。
長らく【放送と通信の融合】なんて言ってきたが、放送の作り手たちと放送局の人間が体でわからないと本当の融合にならないと電波少年Wを作り始めてようやく思い至った。
実は電波少年Wは放送回と配信回が一週おきである。毎週月曜日20時ぴったりに番組はスタートしているのだが特に配信回の再生数を見てみると「生配信を見ている人」よりもその後数日のうちに見ている人の方が圧倒的に多い。
放送回も配信をしているので再生数はその形である。
つまり考えれば当たり前のことなのだが「コンテンツが見られるタイミングは全てユーザー側に委ねられる」ということになっている。そっちの方が圧倒的に便利だから。「2週間の見逃し配信」もなるべく早く「ネット上の置かれたものは半永久的にそのまま置かれる」という形にすべきだ。一つのコンテンツが享受者の嗜好に合わせてアルゴリズムでリコメンドされるという今のシステムに1日も早く「元放送コンテンツ」がなるためには、ネットに置かれたら「ネットコンテンツ」になるためにネットのルールに従わなくてはならないのだ。

番組を作る時には「今週の形を来週どう進化させるか?」ができるかどうかが大切だったが、ネットコンテンツはさらにそのことが要求される。これから見るものが「面白そう」と感じさせることよりも、今見たものが「面白い」と思ってもらうことが定着への確実な方法なのだからだ。

電波少年Wは毎週毎週進化させようと思う。そのことの積み重ねが効果があるのはネットコンテンツの見られ方だと思うことがようやく体感でき始めている。

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