見出し画像

博多ミチルさんの側弯症発症から術後(後編)

[ 4.予言通り ]

入院当日は大幅に遅刻でした(^_^;)。
手術当日には家族の待機が必要ですが、遠方からの母親と親戚の到着は手術開始後だったので、家族に会えず、手術室へ向かうときは独りでした。
麻酔が掛かり、しばらくして眠りに落ちました。
回復室で目を覚ますと、先生が「だいぶ矯正が出来ているから」と声を掛けてくれました。
手術直後のレントゲン写真で、すらっと伸びた自分の身体に一安心しました。

(④手術後のレントゲン)

入院前に他の方のブログや動画を隅々まで見ましたが、手術・入院中の回復の過程は皆さんとほぼ同じでした。手術直後は鎮痛薬の点滴でやり過ごします。
数日すると、点滴や心電図など体についているものも外れて、術後からあった漠然とした痛みと吐き気は落ち着いてきました。その頃にスマホが見られるようになりました。
本当に辛い痛さだったのは、その後でした。
ベッドから上半身を起こすと、歪みで縮んでいた背骨周囲の筋肉が矯正されたため長さが足りないからでしょうか、引きちぎれるような痛みがありました。
徐々に馴染んで引いて来ましたが、普通の側弯症だとここまで痛くならないようです。
手術から4・5日は食事をする気力は無く、身体を起こすだけで大変なのでスプーンが必須でした。
主治医から「しっかり食べて、それ以上痩せないように」と声を掛けられ、とても安心出来て心強かったです。
一週間後にベッドから出て洗面所の鏡の前に行くと、あんなに曲がっていた身体が、すっかり真っ直ぐとなり、予言通りでした(笑)。
その頃からリハビリが始まり、ご飯もしっかり食べられるようになりお風呂も入りました。徐々に歩行距離を広げながら、院内のコンビニに買い物に行ったりしました。
退院が近くなる頃には、職場の友人も面会に来てくれました。

(⑤入院食)

看護師さんが毎朝背中の縫合部分を診てくれます。私の背中は手術をしてくれた先生がとてもキレイに縫ってくれていていました。その先生は私と同い年と聞きビックリ!私が側弯症になった15歳の時、先生も15歳。30年後に手術する人とされる人になって人ヒトリの人生を変えてしまっているなんて、同い年なのにスゴイです!

[ 5.退院後のとんでもない毎日とリハビリ ]

入院3週間で無事に退院しました。退院後真っ先にやった事は、お買い物に行くための自転車(主治医の許可有)に乗りました。背中の可動域が狭くなっているので、後方確認と乗り降りに気を付ければ大丈夫でした。

(⑥ミニチャリ)

背中を丸められないので、靴や靴下を履く時は後ろにコロンと転がっちゃいます。
まだ慣れていないうちは身体の使い方に工夫が必要ですが、すぐに身に付くし悲観するほどの不自由さはありません。
細かな動きが出来ない間は、台所でお皿やグラスを落として割ったり、服を着る時に裾が上手く裁けず金具に引っ掛けて破いたりでした。
また、無理な体勢を取って背骨とは関係の無い足の付根を痛めてしまい、1ヶ月間動けなくなってしまいました。
通常であれば3ヶ月ほどでかなり普通に歩けるらしいのですが、私はなかなか歩けるようになりませんでした。30年間の側弯の形状が、すぐには抜けず身体が元の方向に傾いてしまうし、立位になると上半身が持ち上がらないなどがありました。
結局、コルセットを作ることになりました。


(⑦コルセット)

手術から4ヶ月後に職場から依頼があり、傷病手当はまだ有効期間でしたが復職する事になりました。
その後も歩行が困難だったので、主治医に相談してリハビリを受ける事になりました。上半身を持ち上げるのに右手で右腿を掴んで力いっぱい突っ張るから、手の指の爪が喰い込むし、全身に力を入れないと歩けないから食べた直後は吐きそうになり、必死に歩くので熱発し38度超えします。
夜中に足がつるため、朝方にはヨレヨレになりながら身支度をして出勤します。
この体調のため、職場でも思うようには動けず、掲示を貼るにも腰に力が入らず画鋲が刺せない。とても大変な日々でした。
そんな毎日の中、リハビリ担当さんとのおしゃべりは良い気分転換になります。
リハビリは地道に真剣に、そして楽しくあれ。
理学療法士さんの説明とアドバイスはとても的確です。
30年間側弯の身体を支えていた形状を溶いて、新しい形状の身体の筋肉や筋になるよう、身体に教え込むリハビリです。
理学療法士さんのレクチャーが無かったら、自分の身体の状態って何がどうなっているのかさっぱり解りませんでした。なかなか歩けるようにならない不安と心配と焦りも精神的にサポートしてもらっています。
リハビリは通常5ヶ月で期間満了ですが、歩けるようになるまで延長してもらえる事になりました。そして、コルセットからも卒業できました。

(⑧ヘルプカード)

[ 6.計画いろいろ ]

上手く歩けない不自由な間も何か進めていたいと思い、人生のロスタイムを取り戻すにはアンチエイジングということで、美容系の検定を仕事帰りに1ヶ月間勉強して、合格しました。
今まで着られなかった着物も呉服屋さんで試着させてもらい、ちゃんと着る事が出来ました。
とある福岡の写真館さんの協力で、お返し企画の写真も撮ってみました。手術で改善した背中と手術の傷跡を撮ってもらう、という主旨でしたが、傷がキレイに治り過ぎていて、あまり目立ちませんでした(^^;)。
でもあれだけの側弯症を、この年齢で手術してここまで治せるという証明写真が出来ました!


(⑨背中のポートレート)

7割治った事で、身体と心の負担も7割軽くなった今、絶対にやりたい事は、子どもの頃から変わらないふたつです。
ひとつは乗馬です。10年前に初心者ライセンスを取っていましたが、もっと本格的に続けて上達したいです(主治医の許可有)。目指せ馬術女子☆!
もうひとつは絵を描く事。絵の勉強を再開して作品を残していきたいと思います。

(⑩16歳のデッサン画)

まだまだ上半身を起こす事が大変ですが、最近では3分の1くらいの力で支えれば持ち上がるようになりました。歩く速度も術後1年で周りに追い付けるようになり、電車にも乗れます。完全に周りと同じように歩けるまでは難しいかもしれませんが、手術にまったく後悔はありません。
手術の痛みも術後の苦労も、重症の側弯で何十年も生きて行く苦痛に比べれば遥かに耐えられます。
病状や年齢によって、最適な治療方法は人それぞれで違います。
失敗も含めた私の経験でのアドバイスは、どのような治療方法を選ぶ場合でも、医療機関を受診しながら自分の背骨の病状を正確に把握しておく事が重要だと思いました。
たくさんの情報から正しいものを見付けて、病気の知識を持つ事も大事です。もし手術が必要になった場合でも、納得がいく医師に会えるまで探して良いと思います。
今、側弯症で苦しんでいる皆さんが、良い医療・良い医師と巡り会えて、良い方向に向かって行けるようにと思います。私も一緒にリハビリ頑張ります。

一瞬で壊れてしまった人生。でもこの体験を、同じ苦しみの誰かのもとで、キラリと刺さるカケラにしたい。
そう思っていた時、『ユイチャンネル』での対談が実現できました。
とても楽しく貴重な時間を作る事が出来ました。
1年前はハラハラドキドキ決死の手術の夏。今年は You Tube 祭りな夏になりました☆

By ミチル


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?