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コンビニに行くたびに意味なく「ああ、年賀状」と呟いていた。それを拾った恋人が「年賀状を出すなんていうことをもう何年してないだろう」と返してくれた。そう、実は喪中だったなと、昨日年越しそばの材料を買いに行った帰りすがら、もう1分もすれば玄関に辿り着くので4つあるうちのひとつ、鍵を握りしめて歩いているときに思い出した。祖父の死を忘れるなんて薄情だな。時期を忘れたことに反して記憶は鮮明だ。危篤の祖父の待つ病院へ行く足が重くて百景で珈琲をゆっくり飲んだし、その電車の中で限りなく透明に近いブルーを読み終えて、その時の写真がこれだから。

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