「新しいキャリアの見つけ方 - 有山徹」について

はじめに(プロティアン検定とは)

プロティアン・キャリア協会が主催している、プロティアン検定を先日受けました。受験にあたっては、指定の課題図書があります。その中の1つである、有山徹氏が著者の「新しいキャリアの見つけ方」について、興味深い内容でしたので、要約と読んでみての感想を書き留めておこうと思います。

プロティアン検定とは、一般社団法人プロティアン・キャリア協会が一般向けに実施をしている検定です。田中研之教授が提唱する「現代版プロティアン・キャリア」の理論・実践方法を身につけられるよう、1日講座を受けた後、およそ1ヶ月後の試験を受けることになっています。ちなみに、課題図書は以下の2冊です。

  1. プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術

  2. 今のまま働き続けていいのか 一度でも悩んだことがある人のための 新しいキャリアの見つけ方 ~自律の時代を生きるプロティアン・キャリア戦略~

今回は2.の書籍ついて紹介したいと思います。

書籍の要約

3つのキャリア資本

誰もが3つのキャリア資本を持っている。それは、

  • ビジネス資本‥仕事のスキルや知識、資格など

  • 経済資本‥収入や貯蓄などのお金

  • 社会関係資本‥人や社会とのつながり

アイデンティティとアダプタビリティ

アイデンティティを知る:あなたの特徴や価値を再発見し、自分がやりたいことや得意なことを理解する。
アダプタビリティを知る:あなたのアイデンティティと社会が求めているものをマッチングし、社会が求めていることとお金になることを重ね合わせる。
自分の価値観において、幸福感を感じられる状態や夢に向けて努力する。そのプロセスで成長実感を得られている時こそ、人生における本当の成功であるといえる。プロティアンキャリアは「未来志向のキャリア」のことである。自分のやりたいことと組織のミッションを重ね合わせつつ、幸福感を感じながら「心理的成功」を目指すことが大切である。
プロティアンキャリアを実践していくにあたってのポイントは3つである。「未来志向」「変幻自在」「心理的成功」。

キャリア戦略に迷った時のヒント

キャリア戦略に迷った時のヒントとして、
①誰に何をしてあげたいか? ②やりたくないことは何か?
上記2点をもとに、自分自身にある限られた資本配分(「もの」→知識/経験(ビジネス資本)、「人」→人的ネットワーク(社会関係資本)、「金」→貯金/資産(経済資本))を考え、戦略を練ることが大切。

未来志向のプロティアンキャリアでは、仕事をする上での基礎力である「ポータブルスキル」を重要視する。仕事をする上で欠かせない、「課題を発見する=問いを立てる力」「計画を立てる=戦略を練る力」「実行する=行動力、巻き込み力」といった、基本的なスキルは、どんな職種についても変わることなく活用できる。

市場価値=希少性×市場性×再現性

  • 希少性:持っているキャリア資本にどれだけの希少価値があるのか

  • 市場性:その資本にどれだけ需要があるかどうか

  • 再現性:持っている資本をどこでも再現できるか

未来は予測するのではなく、洞察すること。市場価値を高めるポジショニング/STP分析(下記参照)を行い、キャリア戦略を練る。
・セグメンテーション(S):同じような特性を持つ切り口で市場を分け、細分化することで分類する
・ターゲティング(T):狙うべき市場を決める
・ポジショニング(P):ターゲットとする市場の中で、自分がどのような位置を占めるのかを明確にする

ikigaiチャート

心理的成功を実現するには、「好きで、得意で、お金になり、需要がある」ことをすればいい。
1,好きなこと:心理的成功を目指すプロティアンキャリアにおいては、まずは「好きなこと」をキャリアの目標にすることから戦略を作っていく
2,得意なこと:「得意なこと」こそが、自分が持っているキャリア資本を活かす手段になる
3,社会的な需要があること:「社会的な需要」は、心理的成功における重要な要素となる
4,お金が稼げること:「社会的な需要があること」が、そのまま「お金を稼げること」になるとも限らない
自分の資本をどのように使い、蓄積していくのかの指針こそがキャリア戦略である。戦略を考える前提条件は、自分の現在地と目指すべき状態を明確にしておくことである。

キャリアをオープン化する

個人の想いと組織における役割を繋ぐものが「キャリア」である。
①「キャリアについての自分意向を伝えること」(アイデンティティ):自身のキャリアについての意向を”継続的に”伝えていくことが重要。そして、自分のやりたいことを明確に、”言語化”しておくこと。さらにそれを続けること。
②「自分の強み発揮できる環境を獲得する」(アダプタビリティ):状況に合わせて対応を変化させていくのは、プロティアンキャリアに欠かせないスキル。自分の強みもしっかりと把握していれば(アイデンティティを確立していれば)、次は環境に合わせる、あるいは環境を合わせる(アダプタビリティを発揮する)ことでキャリアが築かれていく。

プロティアンキャリア6つのモデル

プロティアンキャリアでは、キャリア資本の蓄積の仕方として6つのモデルを設定している。

  1. イントラプレナー型

  2. トランスファー型

  3. ハイブリッド型

  4. プロフェッショナル型

  5. セルフエンプロイ型

  6. コネクター型

越境学習4つの型

越境学習には以下の4つの型がある。

  1. 出向型

  2. 兼業型

  3. 副業型

  4. プロボノ型

ポイントは「枠」を超えて学ぶこと。新しい知見、経験は、これまでの「枠」を超えることでしか得られない。
キャリア体系は常に変わって良い。動き出すための戦略は精度が低くても良い。初めから緻密な戦略を立てようとして、行動を起こすのが遅れてしまう(あるいは行動しない)のは最もNGな状態。道を間違ったり、回り道したりしても構わず、紆余曲折も含めて、それが自身のキャリアにとって必要だったと肯定していけばよい。ポイントはそこから何を学んだか、どんなことに気付けたか。そして、SNSなどを通じて、アウトプットしていくのも大切である。

プロティアン7つの習慣

プロティアン流の心得ておくべき7つの習慣がある。

習慣①【情報収集する】:社会の変化に対して常に敏感にアンテナを立て、情報収集を怠らない
習慣②【両利き読書をする】:自分の専門性と知識をより深める「知の深化」に効果的な本を1冊以上、新しい分野に触れるための「知の探索」となる本を1冊以上、月に2冊は”問いを持って”読む
習慣③【自分と対峙する】:自分自身と向き合い、自身のアイデンティティにおける新たな気付きを言語化する
習慣④【新しい行動を起こす】:小さなことでもいいので未経験の「新しい行動(挑戦)」を実行する
習慣⑤【カラダと脳の健康を維持する】:カラダの健康と精神に良い食生活の改善、運動や瞑想、写経などの習慣化をする
習慣⑥【良い関係性を築く】:家族や子供、親しい知人との関係性をより良くする
習慣⑦【行動を振り返って次の行動に活かす】:戦略と実際の行動を定期的に振り返り、戦略をブラッシュアップする

所感

 市場価値の掛け算の考え方や生きがいチャートについては、キャリアカウンセリングの勉強をしていた「キャリアサポーター・アカデミー」での学びとも重なり、非常に腹落ちするものがありました。「やりたいこと」「できること」「求められること」を考えながら重ね合わせていくことが大事なのだなと感じました。
 キャリアのオープン化に関しては、常日頃から組織やコミュニティに対して自分がやりたいことや方向性を発信し、行動を続けていると、求めていた環境を作り出せ、自身で機会を生み出すことにも繋がるのだと思います。
 そして、プロティアンキャリア流の7つの習慣、どれも浅くはできていますが、もっと深みを持たせて実践していこうと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?