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ドーナッツ経済学が世界を救う(ケイト・ラワース著)

成長拡大ではなく循環型持続的繁栄を目指した経済学を説いた書。ドーナッツ経済学はSDGsを達成するための経済学とも呼ばれ、経済学者である著者のケイト・ラワースは、ザンジバルの農村で3年間マイクロ起業家とともに仕事をしたことがきっかけに、国連の持続可能な開発計画の主要な報告書作成に携わっている。(本書著者紹介より)
ドーナッツ経済学とは、経済活動が環境におよぼす影響の上限を越えない範囲で人々が人間らしい生活がおくれる社会的土台を不足無く提供することを目指した経済学である。ドーナッツの名称は、社会的土台をドーナッツの内側の輪で表し、環境におよぼす影響の上限をドーナッツの外側の縁として、経済活動をこのドーナツの輪の中に収めるという概念図から名づけられている。
ドーナッツ経済学では、ドーナツの外側の経済活動が環境におよぼす影響として生物多様性の喪失、大気汚染、オゾン層の減少、気候変動、海洋酸性化、化学物質汚染、窒素およびリン酸肥料の投与、取水、土地変換といった要素が示されている。一方、ドーナッツの内側の輪である社会的な土台、生活の基本となる要素として食糧、上水道と衛生設備、エネルギーの利用、教育と医療、人間としてふさわしい住居、最低限の所得と人間らしい仕事、情報通信と社会的な支援のネットワーク、男女の平等、社会的平等、政治的発言力、平和と正義が示されている。これらはSDGsの目標に全て含まれているものである。
ドーナッツ経済学に基づいた都市開発プログラムとして気候変動への取り組みに取り組んでいる世界の大都市のネットワークのC40CITIESではThriving Cities Initiativeのもと、アムステルダム、フィラデルフィア、ポートランドでプロジェクトが進められている。 

ドーナッツ経済学が世界を救う(ケイト・ラワース著)

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