【性的パートナーが多いとどんなデメリットがあるの？】性的ダブルスタンダードは平等主義社会でも持続する：オランダの青年期における社会測定学的証拠

性的に寛容な女子は男子よりも仲間から孤立し嫌われがちであることが、社会測定学的分析からわかりました。
オランダの中等学校生徒1,175人を対象に、自己申告した性的パートナー数と、仲間からの友人、嫌悪、人気の投票との関連を調べました。
性別と性的パートナー数の交互作用が有意であり、性的パートナーが増えると女子は仲間から嫌われましたが、男子は影響がありませんでした。
また女子は性行動が増えるほど嫌われる一方で、知覚された人気は男女ともに上がりました。
この結果は、比較的平等主義的なオランダ社会においても、伝統的な性的ダブルスタンダードが根強く残っていることを示唆します。
女子の開放的な性行動は、ステータス向上の機会とスティグマ化の両面をもたらすパラドックスを提示しました。

Kreager, D. A., Staff, J., Felmlee, D., Zhang, H., & Veenstra, R. (2024). The Sexual Double Standard and Adolescent Stigma: A Sociometric and Comparative Approach. The Journal of Sex Research, 1-11.

はじめに

性的ダブルスタンダード

伝統的な性的ダブルスタンダードは、同じような性行動に対して女子が男子よりも厳しく判断されるというもので、社会科学研究において長年関心を集めてきた分野です。
このダブルスタンダードは、青年期の女子の健全な性的発達を制約し、青年期の男子のリスキーな性行動を促進し、男女間の不平等を持続させる可能性があります。

矛盾したエビデンス

何十年にもわたる研究にもかかわらず、性的ダブルスタンダードの普及と程度に関する実証的証拠は依然として曖昧なままです。
質的研究や自己報告式の調査ではダブルスタンダードの証拠が見つかることが多いのですが、実験的なヴィネット調査では見つからないことが多いのです。
これらの食い違いは、社会的望ましさバイアスや生態学的妥当性の欠如といった方法論的課題から生じている可能性が高い。

社会測定学的アプローチ

これらの限界をいくつか克服するために、本研究ではオランダの青年期における性的ダブルスタンダードを調べるために、新しい社会測定学的アプローチを採用しました。
自己報告された性行動との関連において、仲間からの友情、嫌悪、知覚された人気の投票を分析することで、性的に寛容な女子が性的に寛容な男子に比べてスティグマ化や社会的結果に直面しているかどうかを直接評価することができます。

オランダの文脈

オランダの文脈におけるダブルスタンダードを検証することは、先行研究のほとんどが実施されてきた米国のような文脈と比較して、オランダが男女平等で高いランクにあることから、特に価値があります。
より平等主義的なオランダ社会は、ダブルスタンダードがより弱く、またはあまり浸透していないかもしれない興味深いテストケースを提供します。

方法

参加者と手続き

データはPEAR（Peers and Emergence of Adolescent Romance）研究によるもので、2014-15年度にオランダ北部の5つの中等学校に在籍する青年期1,175人（女子632人、男子543人）を対象に行われたもの。
生徒は教室で紙と鉛筆によるアンケートに回答し、保護者の消極的な同意とともに積極的な同意を提供。
分析サンプルは、回答率が低かったため1つの職業学校の青年期、およびレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、非年齢的な生徒を除外し、12～17歳（M＝14.75歳）の異性愛者の青年期を最終サンプルとして残しました。

測定方法

仲間投票の成果
生徒は最大25人の仲間を投票： 1）親友、2）嫌いな仲間、3）人気のある仲間。
親友と嫌悪の投票は学校内で標準化。
知覚された人気は、人気ネットワーク上の標準化された次数中心性として測定。

性的パートナーの数
重要な予測因子は、回答者が過去9ヶ月間に報告した性的パートナーの数（0人、1人、2人、3人以上）。

コントロール変数
年齢、アルコール使用頻度、ケンカの頻度、同年齢の同級生と比較した思春期早期の時期をコントロールしたモデルで、先行研究における同級生の地位、性別、性行動との関連を考慮。

分析戦略

普通最小二乗回帰モデルにより、性的パートナーの数と3つの仲間投票の結果（親友、嫌悪、人気の知覚）との関連を推定。
パートナー数と性差の交互作用により、男子と女子で関連が異なるかどうかを検証。

結果

親友の投票