リスキーな性行動をとるかどうかは、HIVに関する知識レベルに依存するか? ポーランド人女性を対象とした研究
『Medical Studies/Studia Medyczne』に掲載された新しい研究は、HIVに関する知識が同程度であるにもかかわらず、性交渉の際に一貫して避妊具を使用しない女性ほど、リスクの高い行動に出る可能性が高いことを明らかにしました。
背景・目的
はじめに
この研究では、ポーランド人女性のHIVに関する知識レベルと危険な性行動との関係を調査しています。
中東欧ではHIV感染者が増加しているにもかかわらず、ポーランドの女性人口におけるこのテーマに関する広範な研究は不足しています。
目的
この研究の目的は、ポーランド人女性のHIVに関する知識レベルと危険な性行為を行う傾向との関係を調査することです。
この研究では、HIV感染と予防に関する意識の向上が、リスクの高い性行為の減少と相関し、それによってHIV感染リスクの低減に寄与するかどうかを明らかにしようとするものです。
この研究はまた、ポーランド人成人女性のHIV知識の現状を包括的に評価し、HIV/性感染症に感染する潜在的な危険因子を特定することも目的としています。
方法
参加者と手順
サンプル:研究は、18歳以上のポーランド人女性620人を対象とした横断的サンプル。
データ収集:2020年5月から7月にかけて、ソーシャルメディアを通じて配布された標準化された匿名質問票によりデータ収集。
調査方法
社会経済的要因:調査内容は、社会経済的状況、性行動、HIV知識に関する質問。
HIV知識:HIV Knowledge Questionnaire(HIV-K-Q)を用いて、参加者のHIV感染、予防、一般知識に関する理解を評価。
統計分析
使用したツール:IBM SPSS Statistic 25を使用し、スチューデントのt検定、スピアマンの相関検定などの定量分析を行い、有意水準はp<0.05としました。
結果
サンプルの属性
調査対象は18~64歳のポーランド人女性620人で、学歴や性的指向は多様。
性行動に関する洞察
参加者のかなりの部分が、常にコンドームを使用している人と同程度のHIV知識を有しているにもかかわらず、無防備な性行為やその他の危険な性行為を行っていると報告。
HIV知識
HIV知識の平均スコアは、性交時のコンドーム使用にかかわらず同程度であったことから、知識だけではより安全な性行為に影響しない可能性が示唆されました。
相関結果
HIV知識のレベルと危険な性行為への関与の間に正の相関が認められ、知識が必ずしも行動変容につながらないことが示されました。
考察
危険な性行動とHIV知識
この研究では、常にコンドームを使用する女性と無防備なセックスをする女性の間で、HIVの知識に有意な差はないことがわかりました。
しかし、常に安全な性行為を実践している女性は、危険な行動が少なかったです。
性的指向と行動
両性愛女性と異性愛女性の間でHIVの知識に有意差が認められ、両性愛女性のほうが高い認識を示しました。
しかし、性的指向の違いによるリスク行動の有意差は認められませんでした。
介入への示唆
HIVの知識と危険な性行動との間に正の相関があることから、認知だけでは行動を変えるには不十分であることが示唆されます。
介入は、予防に関する情報と意思決定モデルを統合して効果を高めることが必要です。
研究の限界と今後の研究
本研究では、サンプルサイズや多様性などの限界を認めています。
今後の研究では、革新的なデータ収集方法に焦点を当て、性的指向と行動のダイナミクスをより深く探求し、個々のニーズに合わせた介入策を提供する必要があります。
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