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2020年6月30日に瀧本哲史に会いたかった

 4月にこんな本が出た。
『2020年6月30日にまたここで会おう』瀧本哲史 星海社新書

 京大にいたときは起業もビジネスも微塵も興味なかったら、授業は調べもしなかった。先生の名前は耳にしていたし、ルネに山積みになった著書はよく覚えている。でもそれがまた『僕は君たちに武器を配りたい』とかなーんか中二病感溢れる名前で、文化芸術と生命科学に溺れていた私は手にも取らなかった。割と京大生らしい京大生だったので「実学か(茶道や細胞の方が余程おもしろいわ)」と一瞥をくれていた。

 今になって、授業受けてみたかったな、と思う。能ある人は早逝してしまう。
 
 シンクタンク・コンサルティングの会社に入って、未だに「うわー、大の大人が本気で日本の未来とか考えてる(汗)」と思う。
 不況しか知らず、人口は減るばかりで、台風は来るわ地震は来るわ津波まで来るわ、挙句の果てに原子力発電所がぶっ壊れた。政治家は桜を見たりお金ごまかしたり。2020年に限っては感染症流行るわオリンピックなくなるわ経済止まるわ、世界中でいっぱい人死ぬわ、レ・ミゼラブル。
 1992年に私が生まれてからこの社会に希望なんてあったでしょうか。全くなかったよ。
 
 こんな絶望的な状況にもかかわらず、社会を変えたいって頑張ってる人がいっぱいいる。
 社会を変えるには、多くの人は事業を起こす。事業をするということは何らかの困り事や改善すべきことに解決策を出して、お金を回すこと。まだまだ困り事や改善すべきことはいっぱいあるらしい。事業をする人の支援をするのが私の仕事。目の前にお客さんがいると、どうにかしてあげたいと思うし、手が回らないところは動いてあげたいと思う。でもふと我に返ると、「うわー(略)」という思いが頭をもたげる。一生懸命働いてまで、変える価値のある社会ですかね?
 
 8年前、日本は今と同様に希望もへったくれもなかったと思うけど、瀧本先生はチップを張った。2020年までは、日本に希望があるんじゃないか。

“僕はとりあえず2020年までは日本にチップを張ってみますが、もしだめなら脱出ボタンを押して「みなさん、さようなら〜。これだけ頑張ったのにダメなら、もうしょうがないよね〜」と判断して、ニュージーランドの山奥なんかに引っ越しているかもしれないです”
“でも、そうせず済むように、8年後の今日、2020年6月30日の火曜日にまたここに再び集まって、みんなで「宿題」の答え合わせをしたいんです"

 否応なく天国にお引越しされてしまったのはなんとも言い難い。
 その2020年6月30日火曜日、日本に希望はあるのでしょうか?
 
 私は、希望はあまりないと思う。エネルギー満ち溢れるインドを見てきて、もう日本なんか老いぼれて細々弱っていく国にしか見えない。世界に先駆けた高齢化で課題先進国とかカッコよく言ってるけど、裏を返すと課題を解決できなければ先駆けて破滅の道へまっしぐら。
 
 それでも、私が日本で生きてるなら日本で気持ちよく楽しく暮らしたいし、他の人もそうであってほしい。国の状態が悪化するからといって、個人の人生が悪化するとは限らない。良い方向に進む人もきっといる。

“「自分の時間」という資源は結構有限なので、なるべくその資源を活用するようにしたいわけですよ。自分自身を幸せにすることに関しては、じつは達成度150%、やったーみたいな感じですので、あまり関心がありません(笑)。なので、もうちょっと自分のリソースを最大限活用するのにどこがいいかな? なるべくインパクトがあって、すごく困っているところが大逆転して一番良くなるとか、とってもいいじゃないですか”

 幸せそうで何よりですね。笑

 そうそう、私も他人にリソースを割く方が良いし、楽。

“「自分で決める(決められる)」ことが超重要”
“行動しないと意味がない"

 他人にリソースを割くにしても、喋って話聞いてるだけでは意味なくて、その先に行動がなければ意味がない。仕事でも、寄付でも、ボランティアでも、日常生活でも。
それが、先日10万円を寄付した主旨でした。今の私は寄付くらいしかできない。

 仕事も一緒。他人のために、自分が決めて、行動する。行動すると、価値が生まれる。言葉ばかりの人は、煙たがられる。笑

 そういうことを、学生に教えてくれる数少ない稀有な先生だったのだと思う。わからないけど、きっと2012年6月30日の講義からも「行動」は生まれたんでしょう。お引越し先の天国からどう見ていらっしゃるのか、知る術はないけれども。

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 時期を逸してしまったけど、audiobookの配信をしていたそう。一部はまだ聴けるようなので興味のある方はどうぞ。

《終わり》

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