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#テクノロジー

音楽というアート|坂本龍一氏のトリビュート展

 坂本龍一氏はミュージシャンとして知られている。代表曲である「Merry Christmas Mr.Lawrence(戦場のメリークリスマス)」(1983)や「energy flow」(1999)のピアノの旋律を聴いたことがない人は少ないだろう。実際、東京藝術大学で作曲を学び、大学院で修めた氏はいわゆる正統な音楽家である。一方でその活躍は音楽の枠に収まっていない。映画『戦場のメリークリスマス』、『ラストエンペラー』(1987)への俳優としての出演は傍に置いたとしても、レコード

東京はいま|TOKYO NODE開館記念企画『Syn:身体感覚の新たな地平』

 この秋に新しく開業した東京・虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、その最上層を「TOKYO NODE」という複合施設が占める。新しい街の一等地ともいうべきこの場所に、レストランや空中庭園だけではなく、ホールとギャラリーを設ける遊び心が今の東京を表している。オフィスやホテルはもう十分。こけら落としを担ったのはPerfumeの演出でお馴染みのRhizomatiks x ELEVENPLAYのコラボレーションだ。世界中を魅了するテクノロジーとアートの組み合わせが、東京の街に再び発信

動き続ける音楽|Robert Glasper来日公演

埼玉・秩父ミューズパークで開催された「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2022」。大トリを務めるべく来日したロバート・グラスパーの単独公演を観れば、ただ一つのアフリカン・アメリカン・ミュージックに昇華されようと動き続ける『Black Radio』の今に触れることができると思うのです。  5月、アメリカからはバイデン大統領だけでなく、ジャズ・R&B界の人気ミュージシャンたちが挙って来日を果たした。ロバート・グラスパー(Robert Glasp

オリジナルに想いを馳せて|ゴッホ・アライブ

 東京・品川の寺田倉庫G1ビルでは、ゴッホ・アライブ(Van Gogh Alive)が開催されている。これまで世界99都市を回り、延べ900万人もの来場者を誇るという話題の体験型インスタレーションが、いよいよ東京にやってきたのだ。そのコンセプトは至ってシンプル。運営するGrand Experience社によれば、「3,000点を超えるゴッホの巨大な画像が、壁、柱、天井、床までを埋め尽くすスリリングなディスプレイを作り出し、ゴッホ独自のスタイルを構成する鮮やかな色彩と生き生きと

共感する建築と都市|ヘザウィック・スタジオ展

 この秋の開業を目指して、東京は六本木ヒルズと東京タワーの間の位置に、日本一の高さを誇る高層ビルが建ち上がった。麻布台ヒルズ。メインとなる森JPタワーは高さ330m(地上64階)にもなるとのことで、大阪・あべのハルカスを30mほど追い越した。主な用途は住居やオフィス、商業施設。六本木ヒルズに肩を並べる規模の街が生まれようとしている。古くは飯倉と呼ばれた由緒ある地も老朽化が進み、30年の時間を掛けて再開発の地盤が整えられたらしい。その継承先ともいうべき低層部の街並みを描いたのは

香りを通じて|蜷川実花氏の個展『Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』

 東京虎ノ門・TOKYO NODEでは、開館記念企画の第二弾として、蜷川実花氏の個展『Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』が開かれている。その人気の高さから規模が大きくなりがちな氏のエキシビジョンの中でも史上最大級と言われる今回は、11もの展示室に写真と映像と造形が組み合わさった作品が詰め込まれている。そして、そこはもちろん多彩な色に溢れている。枯れた黒や茶色、眩しい緑やピンク、瑞々しい赤や青、黄色。今の時代に一切のCGを使っていないというのは、写真家と