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#読書感想文

聴くことと、弾くことと|Meshell Ndegeocelloの来日公演

 グラミー賞にて、今年から新設されたベスト・オルタナティヴ・ジャズ・アルバム部門はミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)が勝ち取った。1960年代生まれのベテランがシーンを牽引していると思うと頼もしい。8年ぶりのオリジナル盤『The Omnichord Real Book』は、老舗ブルーノートに移籍してのリリースだ。これまで様々なアーティストをサポートし、プロデュースしてきた氏の作品に相応しく、多くの話題のミュージシャンがクレジットに名を連ねる。ジ

フレームの外側|川内倫子氏の写真展「M/E」

 東京オペラシティ アートギャラリーでは、写真家・川内倫子氏が国内では6年ぶりとなる大きな個展を開いている。タイトルは「M/E」。Mother Earth(=母なる地球)の頭文字をとって、ME(=私)に重ねる。地球に生まれた私たちは自然はもとより、それを取り巻く物理現象から逃れることができない。氷河や火山、生物や植物、食物や道具、どれを撮っても光を際立たせる川内氏の表現が、生きることの尊さと儚さを再認識させるのだ。昨今、影ばかりが着目されがちな写真の世界において、このストレー

香りを通じて|蜷川実花氏の個展『Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』

 東京虎ノ門・TOKYO NODEでは、開館記念企画の第二弾として、蜷川実花氏の個展『Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』が開かれている。その人気の高さから規模が大きくなりがちな氏のエキシビジョンの中でも史上最大級と言われる今回は、11もの展示室に写真と映像と造形が組み合わさった作品が詰め込まれている。そして、そこはもちろん多彩な色に溢れている。枯れた黒や茶色、眩しい緑やピンク、瑞々しい赤や青、黄色。今の時代に一切のCGを使っていないというのは、写真家と