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#文化

ジャズをつなぐ理由|Roy Hargroveのドキュメンタリー映画『人生最期の音楽の旅』

 2018年に49歳の若さでこの世を去ったトランペット奏者、ロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)。長年の友人でもあったエリアン・アンリ(Eliane Henri)が撮影したドキュメンタリー映画が、いよいよ日本でも公開された。結果的に最後となってしまったツアー中のハーグローヴを追った作品は、氏の才能と苦悩を、美しくも儚く描き出している。イタリアの町を歩くシーン。足を引きずる様子からは、晩年の病状の悪化が見て取れる。それでもステージに立てば、笑ってしまうほどの軽快なグル

時代に流されないために|イヴ・サンローラン展

 「ファッションは廃れるけれど、スタイルは永遠だ(Fashion fades, style is eternal)」。イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)氏の有名なこの言葉は、今の時代にこそ重宝される。毎年のトレンドを追いかけて、鮮やかな青色やシースルーの服を買ってみても、果たして何回着ることができるのか。本来「流行」を意味するファッションは、当然に時代遅れをも連れてくる。去年のものと一目でわかるデザインは定番よりもずっと気恥ずかしくて、メルカリやラクマ

動き続ける音楽|Robert Glasper来日公演

埼玉・秩父ミューズパークで開催された「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2022」。大トリを務めるべく来日したロバート・グラスパーの単独公演を観れば、ただ一つのアフリカン・アメリカン・ミュージックに昇華されようと動き続ける『Black Radio』の今に触れることができると思うのです。  5月、アメリカからはバイデン大統領だけでなく、ジャズ・R&B界の人気ミュージシャンたちが挙って来日を果たした。ロバート・グラスパー(Robert Glasp

聴くことと、弾くことと|Meshell Ndegeocelloの来日公演

 グラミー賞にて、今年から新設されたベスト・オルタナティヴ・ジャズ・アルバム部門はミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)が勝ち取った。1960年代生まれのベテランがシーンを牽引していると思うと頼もしい。8年ぶりのオリジナル盤『The Omnichord Real Book』は、老舗ブルーノートに移籍してのリリースだ。これまで様々なアーティストをサポートし、プロデュースしてきた氏の作品に相応しく、多くの話題のミュージシャンがクレジットに名を連ねる。ジ