高金利通貨レポート③南アフリカランド
先週(8月9日~13日)の南アフリカランドは上値の重い展開。
8月5日のムボウェニ前財務相の辞任で強まったランド売りの流れはひとまず収まったが戻りは鈍かった。ランド/円は今週に入り、7.546円前後まで上昇する場面もあったが(11日)、米連邦準備制度理事会(FRB)のテーパリング(量的緩和の段階的な縮小)観測が新興国通貨の重しとなり伸び悩んだ。13日には米8月ミシガン大消費者信頼感指数の下振れで市場心理が悪化したため7.409円前後まで弱含んだ。この日、南ア新財務相に指名されたゴドングワナ氏は前任のムボウェニ氏による「持続可能な財政政策」を堅持する方針を示したがランド相場の押し上げには繋がらなかった。
南ア新財務相、持続可能な財政政策の堅持表明-ロイター
https://jp.reuters.com/article/safrica-treasury-idJPKBN2FH01H
なお、今週に入り16日には中国経済指標の悪化やアフガニスタン情勢の緊迫化で急落。17日の東京市場では7.327円前後まで下落して3月29日以来の安値を付けている。年始の安値6.663円前後から5月高値8.166円前後までの上げ幅の「半値押し」にあたる7.415円前後を下抜けており、下落圧力が増しやすいチャート・フェースとなっている。
市場心理は悲観方向に振れており、当面は市場心理を映す鏡として主要国の株価や資源価格の動向に注意が必要となりそうだ。その他、18日に発表される南ア7月消費者物価指数の結果にも注目したい。7月に発生した暴動や新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の減速で、南ア中銀の利上げ観測は後退しているが、インフレが加速するようだと再び利上げ期待が高まる可能性もある。