南ア発オミクロン巡る懸念はひとまず後退も、ランド円下落トレンドは継続
南アフリカランド/円週足
13週、26週、52週の短・中・長期移動平均線を下回る水準で推移しており戻りも鈍い。13週線と26週線は下向きの度合いを強めている。52週線はまだ上向きながら、13週線が上から下へ抜ける「デッドクロス」を示現。下落トレンド継続中と見るのが妥当であろう。
オミクロンは重症化の度合いが低いとの見方
南アフリカで初めて見つかった新型コロナウイルス変異株「オミクロン」について、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は7日、デルタ株よりも強い感染力を持つ可能性が極めて大きいとしつつ、重症度に関しては「デルタ株よりも重くないことはほぼ確実だ」と述べた。また、「南アフリカでは、感染者数に対する入院患者数の割合がデルタ株よりも低いようだ」との見解を示した。
ワクチン接種率の低さはランドの重しに
「オミクロン」が重症化しにくいのは朗報だが、コロナワクチンの接種率が低い南アフリカにとって感染力の強さは懸念材料だ。南アフリカのワクチン接種率は5日時点で30%(1回以上摂取した人の割合)にとどまる。今後、感染拡大に伴い最大都市ヨハネスブルグなどでロックダウン(都市封鎖)が再導入される事になれば、国内景気の下押しに繫がるだろう。他の多くの国で見られるように南アフリカでもインフレが高進中だ。10月のインフレ率は南ア中銀(SARB)の目標を上回る5.0%に加速している。SARBは景気減速と物価上昇の板挟みで金融政策運営に苦慮する事になりそうだ。