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新興国3通貨ペアの立ち位置と来週の注目点 リラ・ランド・ペソ 7/16

トルコリラ円 底這い
新規の悪材料なく、安値圏で底這いの展開に。14日にはトルコ中銀が政策金利を19.00%に据え置き、声明で「引き締めスタンス」を「断固として」維持すると表明。しかし、エルドアン大統領が利上げを許すはずがないとの見方は根強く、利上げ期待は浮上せず。

来週の注目点
トルコはイスラム教の「犠牲祭」で週内はほぼ休日。引き続き、悪材料は出にくいと見られ、リラは外部要因次第の展開に。市場のリスク志向が高まるかがカギとなりそう。

テクニカル
エルドアン大統領による3月の中銀総裁更迭で下落に転じ、5月末には大統領が「7-8月にも利下げが必要」と発言した事で過去最安値12.229円前後を記録。足元でこの水準は維持しているものの、12円台後半で上値の重い展開。右肩下がりの13週移動平均が上値抵抗となっているだけに、下値不安がくすぶり続ける。

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ランド円 軟調
南アフリカ最大都市ヨハネスブルグなどで10日ごろから発生した大規模な暴動がランドの重し。AP通信は、前大統領の収監をきっかけとする暴動によって14日時点で1800人超が逮捕され、72人が死亡したと伝えた。なお、トヨタ自動車は同国港湾都市ダーバンにある工場の操業を12日から停止している事を明らかにした。

来週の注目点
当面は、暴動の行方が焦点。長引けば南ア経済の回復の遅れが懸念される事に。その他、21日には6月消費者物価指数が発表される。市場予想は前年比+4.8%に鈍化する見込み(前回+5.2%)。中銀のインフレ目標レンジ(3-6%)内で鈍化すれば、利上げ期待が後退する可能性。

テクニカル
年始から堅調に推移してきたが6月上旬の8.166円前後で一旦ピークアウト。13週移動平均線絡みのもみ合いを経て直近では26週移動平均線にタッチ。年初来の上昇の38.2%押し水準(7.592円前後)も下抜けており、26週移動平均線を下抜ければ半値押し水準(7.415円前後)まで下落余地が拡大しそう。

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メキシコペソ円 調整
原油安が重しに。OPECプラスが一転して減産縮小で合意。減産縮小の協議に歩み寄りがなければ在庫の取り崩しが進み需給がひっ迫するとの懸念が生じていたが、解消されたため原油価格に下落圧力がかかった。6月25日のサプライズ利上げによる上昇幅の一部を失った格好。

来週の注目点
原油価格は、足元で調整含みとはいえ依然として高水準。世界的な経済回復への期待が下値を支えている。NY原油(WTI)が70ドル台を維持できるか注目。その他、22日には7月前半の消費者物価が発表される。6月後半は前年比5.74%だった。インフレが中銀の目標レンジ(3-5%)を上回る推移が続く公算が大きい。

テクニカル
6月25日のサプライズ利上げで5.622円前後まで上昇した後は2週連続陰線で調整ムード。ただ、13週移動平均線で下げ渋っており、「健全な」調整の動きと読める。陰線引けながらも7月第1週の長い下ヒゲが底堅さを彷彿させる。

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