Sibelius 2023.2 新機能レビュー

2022.12のアップデートで不完全な形で追加され、使い道の無かった「サブスコア」機能ですが、最新のアップデートでとても便利に使える様になりました。前回のレビューで酷評した部分が概ね改善された感じです。
(前回記事はこちら

独立したレイアウト・マークと音符間隔

前回のアップデートで「サブスコア」が実装された時は改行、改ページはスコアとサブスコアは共通でした、これですと不要なパートを隠す「譜表にフォーカス」と変わりません。譜表サイズと用紙サイズは独立して設定出来ましたがページ数はスコアと共通なので有効な使い道はありませんでした。
 今回独立したレイアウトが設定できることにより、可能性が増えました。
パート譜に複数のパートを含めることもできますが、サブスコアとの違いは

パート譜で編集や入力を行なった場合
以下の操作ははスコアに反映しません。

・異名同音の変更
・表示、非表示の切り替え
・オブジェクトの位置移動(添付先の変更は不可)
・楽器の変更
・調号、音部記号の変更

サブスコアの場合はこれらが全てスコアに反映しますし、
添付先の変更も行えます。これを生かす使用法を考えていくと

・ホーンセクションやコーラスなど特定のセクションのサブスコア作成。
・オーケストラ演奏のリハーサルピアノをスコアに記入しておき
 オーケストラ用フルスコアとリハーサル用ピアノのサブスコア作成。
・大編成の場合、全てのパートの他に複数の楽器を纏めた段をスコアに含め
 コンダクタ用のサブスコアを作成

どの場合も変更や修正がない場合はパート譜で作れますし、精密なレイアウトが必要な場合はそれぞれを別ファイルのスコアとすることも多いと思います。ただ、リハーサルをしながら作り上げていくスタイルで多数の修正が生じる場合はサブスコアから修正出来るメリットは大きいでしょう。
同一のファイルで修正することにより不一致も防ぎやすくなると思います。

サブスコアという概念とは少し外れますが、パート譜しかない曲からスコアを作成する場合、全てのパートを一旦サブスコアにして入力していけばパート譜と見比べながら入力していくことが可能となります。(パート譜で入力して行った場合上記のスコアに反映しない入力をするたびに切り替えが必要です。)

レイアウトをコピー

これまでは、任意のパートから別のパートにレイアウトをコピーすることのみが可能でした。今回のアップデートでスコア、サブスコア、パート間でのコピーが可能となりました。どんな場合に必要?と思うかもしれませんが、

上記のサブスコアを利用してパート譜を入力した場合
入力した時点のサブスコアからパート譜にレイアウトをコピーできます。
サブスコアのまま出力をすればと思う方もいると思いますが、パートはそれぞれ独立して『記譜ルール』を設定出来ますが、サブスコア全てはスコアと共通の『記譜ルール』となります。従って、スコアのには譜表名を表示してサブスコアには非表示という設定ができない様です。(要改善)

別の編成に編曲する場合
別の編成に編曲する場合で元を残したい場合、パートを増減すればレイアウトは当然変わります。元の状態をそのままサブスコアにしてレイアウトをコピーすることが可能となりました。

その他には明らかなミスだったとは思いますが、今まで出来なかったサブスコアのPDF出力が可能になってます。(印刷のみ可能でした)

今回のアップデートでサブスコアが一挙に使える機能となりましたので、興味を持った方は試して見てください。その他にダイナミックギター譜にも大幅な変更があった様ですがこちらは機会があったら試して見たいと思います。


頂いたサポートは作品制作の為に使用させて頂きます