「青春18きっぷ」で1泊2日 中国地方ローカル線乗りつぶしの旅(備後落合駅)
折り返しのディーゼルカーのカラカラというエンジンのアイドリング音が山にこだまする。後はヒグラシの声とすぐそばを流れる川のせせらぎだけ。ここで約1時間半、新見行きを待たなければいけない。ここから分岐している木次線の列車も、今日はすでに終わっている。
日が出ているうちに駅の周辺を散策。駅から橋を渡ると2車線の道路があり、その周辺に何軒かの家があるが、人の気配はしない。そんな中を何台もの車がかなりのスピードで過ぎ去っていく。
待合室に戻る。中には備後落合駅の歴史を伝える写真パネルが展示され、ここを訪れた人が記録していく「旅のノート」もある。観光マップによると、徒歩15分のところにドライブイン、30分ほど歩いた先に温泉があるそうだが、日が暮れた後の歩道のない山道を歩く自信がないので、待合室でもってきていた文庫本を読み進めることにした。
私一人ぼっちかと思ったが、意外とそうでもなく、何人か車やバイクでやってきては、物珍しそうに三次行の折り返しのディーゼルカーが出発していく様子を写真に収める人もいた。どこからやってきたのか、新見行が来る少し前には高校生の男子が待合室に現れた。
20時を回るころ、暗闇を切り裂くように列車の明かりが見えた。新見から来た列車には4、5人の乗客があったが、すでに三次方面の列車は終わっているので、全員が折り返しの列車で戻ることになる。備後落合から先、どの駅でも乗る客、降りる客はいない。駅に明かりはついているが、この最終列車が行った後も灯り続けるのだろうか。見上げると月が出ている。
岡山県に入り、備中神代で伯備線に合流。21時36分、新見着。ここで今日の旅を終える。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?