アスレティックリハビリテーションを考える。
6月よりCovid-19で延期されていた非常勤講師業がリスタートしました。
担当は、「アスレティックリハビリテーション」で、かれこれ5年以上担当をしています。
授業のレビューとして一つの記事に追記を重ね「何を伝えるべきか」「どのように伝えるべきか」を模索してく記事とします。
言葉が持つ定義(アスレティックリハビリテーションとは)
毎年のことでが、授業の冒頭でアイスブレイクを兼ねて自己紹介をします。
その中で、「アスレティックリハビリテーションに対する印象は?」
という質問をぶつけます。
#1 難しそう
#2 何をするか分からない
この回答が過半数を占める結果となります。
難しさの所以は、このアスレティックリハビリテーションという科目が複数の科目から成立している所にあると思います。
一方で科目に対する不透明さは、科目の定義を明確にする事で可視化しやすくなり得ます。
この章では、この科目の持つ定義について話をしていきます。
Athletic RehabilitationとはAthletic + Rehabilitationからなる造語で、さらに Athletic + RE+abilityに細分化されます。可能な範囲まで細分化し、再度言葉を繋いでいくとアウトラインが見えてきます。
Ability=能力
Re=再び
Rehability=能力を元に戻す
Athletic Rehabilitation=アスレティック*を行う上で必要な能力を戻す。ということになります。
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*アスレティック:競技のこと
つまり、競技復帰を見据えたリハビリテーションこそが、このアスレティックリハビリテーションの定義となります。
また、よく対比されるのが、Medical Rehabilitationとの違いになりますが、Athletic Rehabilitation=競技復帰のために行うリハビリのことに対し、Medical Rehabilitationは日常生活動作の再獲得とされることがあります。
Medical Rehabilitationの延長線上にAthletic Rehabilitationがある事がわかります。
また、その入り口には必ず評価**がある事を認識しておかないといけません。
足関節捻挫・・・・だから・・・チューブトレーニングではなく、足関節捻挫を患った後に、筋力低下が評価*にて確認できた。という流れを汲まないと本当の意味で「能力」の「再構築」にはつながらない事をここで強調しておきたいと思います。
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**アスレティックトレーナーができることは、状態の把握(評価)であって、状態に対して診断行為は一切できません。
また、評価にて問題点を把握することで、その問題点に対しての改善策を練ることができます。(これが競技復帰の為のアスリハとも言えます。)
つまりゴール設定が出来る事につながります。
さらに、評価にて得ることができた問題点に対して、実際にリハビリテーションを立案・指導する中で、目星が正しかったのか。を把握する必要があります。
その際に用いられるのが、機能評価といわれるものになります。
先ほどの捻挫を例に挙げると、捻挫により外返しの筋力に筋力低下を確認し、改善の為のメニューを提案した選手が居たとします。
実際に、外返しの筋力が高まっているか。また、動作中に外返しを伴う動きに介入前と後で変化があるか。
このような部分を把握するために、機能評価を定期的に入れます。
(この足関節捻挫でいうと)
・実際にMMTにて筋力の回復を確認できた。
・カフレイズをした状態でのウエイトシフトで踏ん張れるようになった。
・前額面上の動きが作りやすくなった。
・側方ジャンプの距離が伸びた。
などの状況の変化を確認していきます。
機能評価については、同じ項目を用いての実施が必須で、どのタイミングの状態と比較させるかという点も重要になります。
つまり、元々の状態を数値化しておく。という行為も非常に重要なことと認識できます。(よくスポーツ現場では、ベースを作っておくとも言います。)
その機能評価にて、望んでいる方向に変化があれば、メニューを継続し、変化がなければ再度評価を行い、リハビリの内容を再構成します。
この機能評価には、見立てが正しかったのか。立案している内容について軌道修正が必要かを判断する際に非常に重要な機会と言えます。
エクササイズの目的
何かを「する」場合、「なぜ」するのかを明確にしていることがそもそも大前提としてあります。
(が、巷ではこうだからこう・・・・。と事象を直結しすぎている気がする。)
前章から書いていることですが、ここでも評価をすること。問題点を把握することの重要性を再度お伝えしておきます。
明確な目的=問題点を把握し、改善する為に見合った行動を起こすこと。
ここに尽きます。
更に念頭に置いておきたいことは、問題点=改善のアプローチをしている間にも、問題がない場所の性状は後退(低下:減少)していることも考えなければいけません。
そうなると、問題点の解決に直結する為に用いるメニューと、問題点が及ぼす影響を受けてしまう部分に対してのリスクヘッドを取るためのメニューが同時進行していることが望ましいと言えます。
つまり、怪我のことだけを考えてればいい。というわけにもいきません。
また、何かを提案する際に効果と危険性の両側面を踏まえて話をする必要があります。
◯→これをすれば△や□に効果的ですよ!ただ、実施中に☆に注意しないと症状の悪化を招く恐れがあります。
×→これだけすればいいのだ!効果絶大!
対比する為に極端に書いてきますが、何か相手に行動を起こしてもらおうとする際には、前者の説明が必要になります。
その為には、常日頃から「作用」と「反作用」を意識しておく必要があります。
(この辺を意識し、また、認識すると今このメニューを提案することが適切なのかといた悩みを解消できる事につながると感じています。)
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