働くためのコミュニケーション力

新卒向けに書かれている本だが、社会人経験の長いベテランが読んでも、気づきと学びが大きい本である。

この本を書かれた背景には、なぜ、コミュニケーションが重要なのか、かつ、どうして人と人は分かりあうことが出来ないのか、それをビジネス、仕事という観点から見ている本である。

特に秀逸な内容は、誰が言ったかで人は動く、という話である。
例えば、同じ言葉でも捉え方によっては全く異なる、ということから、

イチロー「おめでとう」
社長「おめでとう」
犯罪者「おめでとう」
お母さん「おめでとう」

この4人のコメントだけでも、一人ひとりの感じ方は異なるはずである。
このように、信頼関係を築けていないにも関わらず、自分が正しいと思うことを伝えても、全く響かないし、余計に関係性をこじらせてしまうことにつながるのである。

だからこそ、必要なのは発信力なのではない、その前にその人が信用できる、信頼できるというメディア力がなくてはいけない。

では、どうすればいいのか。
まずは、相手に対しての理解、それは1回や2回ではなく、コツコツと相手を理解していく行為が何よりも大事になってくるのである。
そのうえで、自分の思いをしっかりと伝える準備をしていく必要がある。
それは、相手の言っていることに対して、適切な要約と承認のコメントを出すことが、自分と相手との架け橋をつくることにつながっていくのである。

そのように、理解と発信に時間をかけることに、何の意味があるのか。
それは、「会社にこそ、自由がある」ことを証明するためである。
会社を選んだということは、分業を選んで、多くの人にインパクトを与えたいと考えているからである。そのために、目の前の人を理解するために、時間をかけているのである。

骨身を砕いて理解し、自分の意思を伝えようとする人間が、職場、組織を、そして社会を自由に動き回ることにつながる人間になることが出来るのである。

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