マガジンのカバー画像

小説&ショートショート

122
小説は主に短編です。フリー台本として、ご自由にお読みください。 (全部ではありませんが、「聴くっしょ!」にも投稿しています)
運営しているクリエイター

#超ショートショート

転がる石ころたち|短編小説

「あー、この曲、CMで聞いたことあるな。言うなよ? 当てるから」  カーオーディオから流れ…

127

夏雲|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 夏の雲がふよふよと漂っている。群れからはぐれて、地上まで降りて来てしまったんだろう。ふ…

51

空色の鉛筆|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 新しい色鉛筆を買った。とは言っても、それは「空色」と書かれた1本の鉛筆で、黒色の芯が付…

トガシテツヤ
7か月前
87

海へ還る|ショートショート

「いいねぇ」  初日は午前中の挨拶回りだけで終わり、午後からずっと海を見ている。小さい頃…

51

夜を渡る風|掌編小説

 目が覚めて、窓から外を見ると、もう日が沈んだ後だった。  ――しまった。  夜の風が来…

102

祈願上手|毎週ショートショートnote

「神様、あー神様、どうかお願いします……」 ブレザーを着た高校生らしき少年が眉間にしわを…

トガシテツヤ
2か月前
45

放課後ランプ|毎週ショートショートnote

「74番ゲートにて、進学743便にご搭乗予定のお客様にご案内します。 当便のお客様の機内へのご案内は、6時30分を予定しております」 ――よし。定刻通りだな。 俺は時計を見る。 「あーもう! 就職便は25分の遅延よ。新入社員が怖気づいて部屋から出てこないって」 就職便の案内スタッフ、藤井さんが天を仰ぐ。 「またか。確か去年も同じような理由で1時間遅れたんじゃなかったっけ?」 「毎年恒例よ。勘弁してほしいわ」 藤井さんを「まぁまぁ」となだめ、お互いに表情を引き締める

春ギター|毎週ショートショートnote

――今年も沸いて出たか……。 夕方、駅前ロータリーのストリートミュージシャンを見て、心底…

トガシテツヤ
3か月前
60

G.W|ショートショート

「皆さん、こんばんは。GWです」  いつも通り、夜の7時きっかりに配信が始まり、チャット欄…

トガシテツヤ
3か月前
34

ジャミロクワイ|ショートショート

「ジャミロクワイって、声に出して言いたくなるよね」  どこかの誰かがSNSで呟く。 「だよ…

トガシテツヤ
5か月前
43

地獄ドライブ|ショートショート

「マネージャーはまだか。遅刻なんて珍しいな」 待ち合わせ時間を少し過ぎた時、横に車が停ま…

トガシテツヤ
9か月前
36

りんごの匣|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 りんご箱の中に入った。試しに中から蓋を閉めてみると、何だか静かで暖かくて、だんだんと居…

トガシテツヤ
10か月前
62

忘れ物?|ショートショート

――携帯電話がない! あー……さっき飲んでた店に忘れたんだな。 取りに行くの、面倒だなぁ…

トガシテツヤ
10か月前
33

どっちに行くのかな?|ショートショート

道に迷った。 このまま進むべきか、戻るべきか考える。 「おーい。おーい……」 どこからともなく、声が聞こえた。 「左に曲がれば、ほしいものが、待ってるさ」 「右に曲がれば、会いたい人が、待ってるさ」 曲がるも何も、左も右も、真っ暗で何も見えない。 「左か右か、さぁて、どっちに、行くのかな?」 「右か左か、さぁて、どっちを、選ぶかな?」 ――まっすぐ行くと、どうなるんだろう。 「やっぱり、まっすぐ、行くんだね」 「みんな、まっすぐ、行くんだね」 ――左に