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BTS:花様年華『EPILOGUE : Young Forever』の物語を書いてみる


前回に引き続き、花様年華の物語を書いてみたいと思います。



テーマとなるのはこちらの作品↓



そのままご覧いただいても何となく楽しんでいただけるかもしれませんが、これまでの物語とつながっているところがあるので、もしよろしければ前回の『Run』の記事を先にご参照いただくとよりわかりやすいと思います。



とはいえ正解を導くよりも、完全に自分が楽しいだけの解釈&表現をしている趣味物語なので、気楽にご覧いただければ幸いです。


初めてご訪問いただいた方へ簡単に説明すると、BTSのMusic Videoなどでつながりを持つ花様年華というたいへん複雑なストーリー群があり、Music Videoを切り取って、説明されていないセリフや状況を言葉で埋めるという趣味をさらす記事となっております。

Music Video自体をご覧になったことがない、という方はまずはぜひぜひ動画をご覧くださいませ!






では、始めます。




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花様年華。

The most beautiful moment in life.

人生で最も美しい瞬間。



その「瞬間」はいつでも刹那的なもので、煙のように瞬く間に消えてしまう。



それでも確かに存在したその「瞬間」は、いつまでもその場所に留まる。


最も美しい瞬間のまま、永遠に。









空を見上げるけれど、金網が視界を遮っている。


そこは巨大な迷路。




「あの時」も、無数の鳥がどこかへ向かっている空を見ていた。


見上げれば、空高くに鳥の群れ。






これまで、いくつもの瞬間をフィルムにおさめてきた。


「あの時」も、僕らはともにいて、同じ瞬間を共有していた。





今、こうして運命の迷路で迷う時も、僕らはフィルムに収められ、同じ舞台に立っている。



舞台は目がくらむほどの眩い光に照らされる。



そして、僕らは目を開く。







ナムジュンは確かな足取りで、前へ進んでいた。



誰かの傷を癒した包帯だろうか。

金網にいくつもの白い布が結ばれて、風に揺れている。



きっと、これは誰かが残してくれた道しるべだ。



このまま進めと言っている。





ソクジンは、終わりの見えないような迷路の先をじっと見つめていた。



高い空を見上げる。


鳥になったら、この迷路を簡単に抜け出ることができるのだろうか。



花が開き、扉が開く。



カーテンの向こうには新たな答えがある。




痛みや苦しみを伴うけれど、やるしかない、進むしかないと決めていた。




花が燃え、もと来た扉は閉ざされるから。




本当は気づいていた。




僕も、単なる物語の登場人物のひとりに過ぎない。



燃えたら、その瞬間に煙となり、やがて灰となり、すべては風で消え去る。


跡形もなくなる。






何となく、いつも手放せないもの。

身体の一部のように、当たり前にあるもの。




触れる感触や感覚が、その瞬間を思い起こさせることがある。



視界は炎に包まれた。

自分で燃やした。


何もかもすべて、燃えてしまえばいいと思ったんだ。






またひとりになってしまった。


またこうしてひとり座って、空虚な世界を見つめている。



真っ白な羽根。

柔らかい。




指で作ったレンズからのぞいた世界。


みんなで目指して、たどり着いた「あの場所」。




必ずそこにいると言った。



振り返って、本当にそこにいるか何度も確かめた。



やっぱりひとりきりで、誰も助けてくれないこともあった。


レンズ越しに観た景色はまぼろしだったのかもしれない、と思うこともあった。



目を閉じれば何か見えるだろうか。



大切な場所で、大切な人たちと過ごした景色。



羽根があれば、あの場所へ行けるかな。





真っ白な羽根が風に舞う。


ここではどうやら薬は必要ないみたいだ。


不思議なくらいに意識がはっきりとしている。


どっちへ行けばいい。




薬を飲む。


天を仰ぐ。


夢に沈む。





あの場所へは戻りたくないんだ。


僕もだよ。


あの場所には戻りたくはない。






水滴の落ちる音。



灰になる瞬間。





太陽が眩しい。

温かい。




風が心地よい。




「僕」は「僕」を取り戻した。



行こう。

走ろう。

辛くても、苦しくても。




この先に、夢見た世界がある。


この先に、目指す夢がある。





もう、迷わない。

僕は僕だ。




永遠に抜け出せない迷路などない。



これは所詮誰かが作ったものだから。




僕は僕だ。



何度見失っても、僕は僕に戻る。




だから、もう僕を引き留めないで。

閉じ込めないで。

諦めてくれ。



僕は必ず道を探すよ。



信じてる。




大きすぎる荷物を背負って、水の底に沈んでしまった。


だからみんなよりも遅れをとっているかもしれない。



だけど、必ず探し出すから。




みんなも立ち上がって、走り出しているはず。



この迷路の先に向かって。







たまには振り返ってくれるかな。


名前を呼んでくれるかな…。






大切な瞬間の数々が、力をくれるんだ。


7人で力いっぱい、全力で走った瞬間。



世界や運命の上を転がされているだけなのかもしれない。


けれど、それでもいいんだよ。



完璧なものなんて何もないから。



迷ったり、苦しかったり、辛いことだってたくさんある。

それで僕らを試そうとしてくることもある。



そんな時こそ、みんなで笑うんだ。

みんなで歌うんだ。

みんなで踊るんだ。




誰かが困っていたら助けにいけばいい。




たとえ遠くにいたとしても、大切な瞬間を夢に見ればいい。



運命のいたずらに翻弄されても、選択を間違うことがあったとしても、僕はまた同じ道を選ぶよ。



7人で一緒にいられる道なら、必ずその道を選ぶ。




別々の道を進んでいても、みんなで進めば、お互いを道しるべに進めば、同じ方向へ進めば、必ず迷路は抜け出せるから。






꿈=夢

희망=希望

전진=前進

전진=前進




ただ少しでも多くの笑顔をとりたかった。


その瞬間をフィルムの中に閉じ込めておきたかったのかもしれない。



木漏れ日のように輝きを放つ大切な瞬間は永遠だから。



炎を吹き消して辺りは闇に落ちても、確かな瞬間は永遠に輝く。



小さな羽ばたきが風に吹き消されても。



過去を握りつぶしても。





振り返ったっていいんだよ。



また前を向けばいい。


前に進むことを忘れなければ、必ず見つけることができるから。



羽根なんてなくても、飛ぶことはできなくても探し出せる。





みんな、待っていてくれるから。


迷路の先で、必ず待っていてくれるから。



ただ、前に進めばいい。




そして、また一緒に肩を並べて進もう。



目の前には大きな道が広がっている。



これからもたくさんの瞬間をフィルムに残そう。


そして、その一つ一つが新しい大切な瞬間になるんだ。



道は続いていくから。



また走り出そう。




一緒なら笑うことができる。




世界の広さも怖くはない。




永遠。

Forever.



そう、僕らは永遠だ。


たくさんの大切な瞬間の輝きをまといながら。



前へ進もう。



両腕を思いっきり広げて、この足で飛んでいこう。




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以上です。



タイトルの「Epilogue」という言葉からも、この物語がここで一つの完結を迎えたのだな、と思います。


この次は新たなフェーズWINGSが始まる、というところでしょうか。


WINGSについては、すでに先行して書いているので良ければこちら↓もあわせてご覧ください。



いつ終わるかわかりませんが、いつか最新…『Film Out』になるのですかね、そこまで話をつなげることができたら、全体のキーワードや伏線を考えたり、ずっと横に置いていたユングやヘッセをあたりながら記事にしてみたいな、と思っています。

いつになることやら…ですが、まぁ特に焦るお話でもないので、ゆっくりじっくり楽しんでいきたいです。


『I NEED U』のあと、『Run』を書き始めるまでは何カ月もかかったんです。

しかし、『Run』のあとの『Young Forever』はそのままの勢いで、ほとんど迷いもなく、書き直すこともなく綴ることができたのはとても不思議です。


とはいえ、次は『Blood Sweat & Tears』です。


こちらは映像を見て、頭で考えるだけではどうにもならないと思っているので、時間はかかりそうですね。




ところで、すべてをつなげることができた「いつか」のために、気になることをひとつ書いておきたいと思います。


一つ前の『Run』では、実はジンだけ物語の外の人、のような印象をうけていました。


いつもフィルムを撮っているので、撮影することで記録したり、何か操作していたりするんじゃないかと思ったり。


『Run』の最後ではポラロイドにひとりだけいなかったりすることからも、「別枠の人」のように感じます。



しかし、『Young Forever』では明らかに同じ枠の人ですね。

それを強調、そして象徴するようなシーンがこちら↓だと思います。

冒頭部分でフィルムがたくさん出てきますが、ジンもフィルムの中にいますし「撮られる側」であることを示し、ポラロイドもともに燃えますね。


同じ迷路の中にいますし、『Young Forever』ではどちらかというとテヒョンの方が別枠感。

これまでに登場した水の中と外の反転が、最後に元に戻ったようにもとらえられるかな、と思ったりしました。




そして、このシーン↓


時々、ビデオカメラの映像も登場しますが、このシーンでもジンはあくまで被写体です。

撮影される側であることを示唆するもののように思えます。




では誰が撮影しているのでしょうか。


誰かはわかりませんが、ふと違和感を憶えた場面がいくつかあります。


『Young Forever』では、これまでジンが撮影したと思われる場面やそれ以外の場面が、モニターに映し出されているんですよね。


何やら文字まで出てくる。


このモニターは誰が観ているのでしょうか。


ジンも撮られる側だとしたら、誰なのでしょう。


この疑問を心にとどめながら、この先の物語も楽しんで書きたいなと思います。

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