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ノベルゲームの良さを考える

マブラヴオルタを終えて

マブラヴのオルタナティブをつい最近終えた
面白い作品を追い求めているのだが、その中でも人生で1, 2を争う作品になった。色々な視点が詰まっている。そして、心に残る。
全体は流石に長いので、前作をyoutubeで倍速で見たり、君望など前段作品はやっていないなど、割と片手落ちだったが。

終わって数日経ったが、登場人物の言動を反芻したり、考えたりする。
人生の糧というか財産になる、学べる作品に触れるのは良い。
なんというか、心が豊かになる、そういうのを大切にしていきたい。

リアルタイムに順を追ってプレイしていて、事前情報なしにオルタをプレイした人は、どういった印象を受けたんだろう。もしくは、他作品を触れていない中高生ぐらいの年齢の方だったらどうだったんだろう。人生レベルで影響受けたんじゃないんだろうか。進撃の作者もそうだったし。

実際にプレイしただけでもそう思うが、
原作者の想いを鑑みると、なるべくしてなったと思える

吉宗氏:
 テーマやメッセージのルーツに関しては割とハッキリしてますね。ひとつは,靖国神社の初詣で読んだ「英霊の言の葉」です。先の大戦で亡くなった方々の遺書集なんですが,あまりに立派で,当時の自分よりさらにひと回り若い人が書いた文章とは思えず衝撃を受けました。

 こんな若者達が国家ではなく,家族や子供の未来を担保するために生命を差し出す。心の奥では嫌だったんじゃないかと思います。でもそれをせざるを得ない状況だった。自分の感情を殺して,立派な遺書を書いて遺族を安心させる優しさなんです。後に僕達が無意識にむさぼった平和や自由に対して,自分にはあまりにも感謝がなかったなと。

マフィア梶田:
 そうせざるを得ない戦いは,まさに「オルタ」で表現されていますよね。

吉宗氏:
 そう。じゃあ自分に何ができるのか考えた結果,とにかく自分が受け取ったものを誰かにつなぐことだろうなと思ったんですよ。だったら,自分の企画にその想いを込めようと。富野由悠季さんや庵野秀明さん達が描く,重いテーマの作品を見てきた経験から,そう確信しました。

「マブラヴ」は吉宗氏の遺書のようなもの
https://www.4gamer.net/games/032/G003242/20170302061/index_2.html

原作の質と想いを鑑みると、アニメの大失敗や現状は悲しいものがある。
マブラヴの意志と内容を受け継いだ進撃が成功したのが唯一の救いか。
というよりむしろ、正当に評価されればそれぐらいの大ヒットは当然だと思える。

ノベルゲーに対する個人的な魅力

最近思うことがある。
ノベルゲーム(もしくはビジュアルノベル、ADV)は、感情がより揺さぶれやすい印象がある。他の媒体では得にくい体験で、濃度が高く、評価が跳ねやすい気がする。全てではないが、こういったバイアスが個人的に形成されつつある。なんなら、他の媒体の作品もノベルゲームとして出してほしいと思う。

この疑問に対してアンサーになる記事を、つい最近見つけた。
おそらく分かっている人にとっては、今更な視点かもしれないが。

僕らパソコンのゲームをする受け手は、「パソコンのモニターに座席に座って世界を覗き込む」形になっているわけですよね、物理的に。簡単に言い換えると、席に座ってモニターを見ているわけだ物理的に。そして、タケルも戦術機の中で、モニター(っておいっても網膜転写画面だが)を見て外の世界を眺めている。物理的に視点の在り方が一致しているんですね。BETA(人類に敵対的な地球外起源種のこと)に対する恐怖とか、閉じ込められたコックピットの閉塞感とか、通信が途切れた時の孤独感とか・・・物理的にモニターを見ている受けてと同じなので、演出が冴える冴える。
(中略)
何がいいたいかというと、この作品はパソコンのモニター画面を見ながら、主人公の白銀武の独白・内面の言葉だけを読みながらすべての物語が進みます。いいかえれば、主観の「私は…」のみで、第三者的視点による神の視点がゼロで話が進むのです。そしてそれが徹底している。

物語の主題が、タケル(=われわれ受け手)の主観の在り方に揺さぶりをというか破壊することが目的のドラマなので、この形式は非常にはまる。
(中略)
ノベルゲームでは、操縦者の主観とモニターしか見えないから、そのバトルフィールドの全体像は分からないのだ。そして、そもそも軍事における一般兵卒の視点とは、常に後者だ。そして、だからこそ戦場ではパニック続出するし、指揮系統が崩壊すると全軍が総崩れになったりするのだ。何が言いたいかというと、このノベルゲームの制約条件を、非常に秀逸に意識して演出しているので、臨場感が凄くあったということ。

『マブラブオルタネイティヴ』 その3
自意識の告発~レイヤーごとにすべての次元でヘタレを叩き潰す
https://petronius.hatenablog.com/entry/2020/04/10/131924

ぶっちゃけ上記がコアな視点だとは思うが、それ含めて考えたい。

ノベルゲーの特徴や構造

以下が思い当たる。

  • 物語世界への関与

    • 文章を読み進める際、ボタンを押す必要がある

      • 倍速は不可能。自分のペースで読むことになる

      • 受け身の度合いが減る

      • 書籍ではページを捲るが、それとはちょっと異なる

    • 分岐点で、どれかを選ぶ必要がある

      • 受け身の度合いが大きく減る

      • 書籍にはない。

  • 常に主人公の視点であり、没入感、一体感が醸成されやすい

    • 基本的に終始一人称

      • 他の媒体でもできないことはないが、三人称の視点が普通

    • "常に"相手と面と向かって喋り合う

      • 他の媒体でもアップのシーンはあるが、常にそうではない

      • 常に話しかけられている感じがある

    • 時間や分量に制限がない

      • 映画、ドラマ、アニメは制限内で収めなくてはならない

      • ノベルゲーは少なくとも20時間を超えるものが多い

    • 主人公の声がない場合が多い

      • 声のあるなしで、主人公とプレイヤーの一体感におそらく差はある

(弱みとしては映像が乏しいことではある。ただこれについては、小説は映像が乏しいということと同じ。個人的には、むしろ補える部分なので気にならない)

上記が組み合わさることで、主人公との一体化、同化が醸成されやすい。
また登場人物に対して、一人の生きている個、血の通った存在、人間性を感じることができる。ノベルゲーにおける登場人物は、いわゆるギャルゲーのような見た目が多く、忌避されがちである。そういった見た目であるにもかかわらず、そこに人間性を感じられるのは、ノベルゲーの強力さをむしろ表している。

(主人公と登場人物がキーとなるため、言動や意図などに共感できない場合、一体化や没入感が減る。)

自己と主人公が同化した後は、主人公を通して起きた事象がダイレクトに入ってくる。あとはいくらでも感情移入のやりようがある。
物語によっては、主人公が徹底的な否定される。良いイベントであれば喜べる。恐ろしいシーンは非常に怖い(プレイ後、怖くて風呂に入れない日があった)。そういったものが己にも降りかかってくるので、感情が大きく揺さぶられたり、感動があったりする。

結果として、非常に濃いものが得られたように感じられる。
ただ、私的な体験・感情は表現するのはとても難しく、もどかしい。

実写化や映像化が難しいのは、時間などの制限があり、主人公との同化、没入感を醸成するのが難しいからなんだと思う。

シュタゲは成功した例で、自分はアニメで見た。当時は一番好きな作品だったけれども、やはり事前知識なしで原作から入った人が羨ましく思える。主人公が苦しみながらTrueエンドに"辿り着く"というのを、まさしく追体験することになる。アニメじゃ体験できない。
(学生の頃、シュタゲ原作の良さを語っていた友人がおり、当時はそこまでわからなかった。だが、今なら羨ましいと思う。)

体験におけるキラーとしてありそうなのは、VRだと思う。
時間に制限も多分ないし、一人称視点で、相手と話す形になるはず。

好きな作品を振り返る

アニメ版のやつは、原作の方をやっていたら評価も違ったんだろうなという気持ちはある

お気に入り

  • White Album2(原作:特にCoda)

  • マブラヴ オルタネイティヴ(原作)

  • ノベルゲー

    • CROSS†CHANNEL

    • 車輪の国

    • 素晴らしき日々

    • 白昼夢の青写真

    • 装甲悪鬼村正

    • ヒラヒラヒヒル

  • 漫画/アニメ

    • シュタゲ

    • Clannad After

    • カレイドスター

    • コードギアス

    • ef 2期

    • 攻殻 SAC

    • サマータイムレンダ

    • ハンターハンター

    • ヴィンランド・サガ 2期

    • 銀河英雄伝説

    • 進撃

    • 左利きエレン

    • カバディ

    • キングダム

  • ドラマ

    • Game of Thrones

    • Breaking Bad

    • Money Heist(スペイン版)

    • 白い巨塔

    • 半沢直樹

  • 小説

    • 三体(ゼロ含む)

    • 同志少女よ敵を撃て

    • 黄色い家

美食家と同じく、新旧問わず、今後も探し求め、謙虚でありたい。
全く読めてないけど、小説の方にたくさん埋まってるんだろうなと思う


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