見出し画像

#BLM


In solidarity with black artists all over the world, and black colleagues in the music industry, trailights record say no to racism, and I will continue protest action.
#BlackLivesMatter , #TheShowMustBePaused
⁣trailights record,(trailights.com)⁣

自分なりに黒人音楽に出会う前に、幼少期から父のレコードでいくつかの黒人音楽を聴いていた。マヘリア・ジャクソン、レッド・ベリー、レイ・チャールズなどなど、それらは父が音楽愛好家だったから買ったレコードではない。彼が部落であることからさまざまな差別問題に関心を持ち、本を買いこんで読みあさった中で出会った音楽のジャンルやミュージシャンの名前を元に買ったレコードだった。聴いてたのしむというよりは、本に出てくる音楽を、資料として実際に聴いてみようと手に入れたレコードだ。いまでも彼は、自分には音楽を鑑賞する素養がないという。それでもレン・チャンドラーという黒人フォークシンガーのライヴにわざわざ足を運んでみて、その来日実況録音盤を後日手に入れた。そして、自分がそこでコール&レスポンスに実際に参加した体験をうれしそうに話すのだ。レコードに入っている歓声のどれかがまるで自分の声なのだというように。
おれが、レコードプレーヤーを自分ひとりで操作してもよいという許可をもらったのは小学5年生の時だった。小学校から帰宅して時間を持て余す半端な午後の時間に、ひとりで薄暗い父の書斎に入り、何度うやうやしくタンテにレコードを乗せただろう。レコード棚は50センチほどのひと箱だったので、ハジから辿っても、自分の気を引くジャケはそうたくさんはなかった。それで何度も何度も同じ盤ばかり聴くことになった。ニューポートのマヘリアは、映画『真夏の夜のジャズ』に収録されたライヴだ。映画を実際に見れたのは20代の後半になってからだった。映像を見てあんな可憐な表情で歌うのかと、ほんとうに驚いた。
おれが自分自身で意識して黒人音楽を聴き始めたのは高1のころで、友人とやっていたパンクの真似事のようなバンドがつまらなくなったころだった。最初にレコードを集め出したのはオーティス・レディング。それからスタックス/ヴォルトから始めてR&Bをひととおり。すぐに、この古い黒人音楽の現代版があるのだろうかという疑問からプリンスを聴くようになった。なんのことはない、それらはMTVでもう見知っていた音楽だった。
大学生のころに流れはフリージャズに至り、それがきっかけで、いまはフリーインプロヴィゼイション(ジャズではない)をメインとした音楽レーベルを細々とやっている。ここのところリリース少ないけど。
いまさら、ことさらに黒人音楽への敬意を表明するのも面映い気がするのだけど、それでも当然のようにいま、意思表明をする。黒人音楽が被ってきた被差別的構造、文化としても経済としてもされてきた簒奪の様子、これらは黒人音楽に限った話ではなく、さまざま場面に普遍的にあるものだ。それを知ったうえで、連帯を示し、行動する。
音楽への関心から始まったはずの自分の黒人音楽への旅が、父が始めそうだったように差別問題への旅とこうやって接続していくことに、なんの躊躇も疑問も持たない。流れは迂回し合流し、また分岐しどこまでも流れていく。至極当然のことで、これは生きて音楽を聴いている限り、終わらない流れだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?