アワ歌

『アカハナマ イキヒニミウク
フヌムエケ ヘネメオコホノ

モトロソヨ ヲテレセヱツル
スユンチリ シヰタラサヤワ』

これは「アワ歌」です。

「アワ歌」はアから始まり、ワで終わる48音からなる歌です。「アカハナマ」から始まり、「タラサヤワ」で終わる24音2組の歌詞です。

「アワ歌」の意味は謎ですが、その意義は「ととのえる」ことにあると言われています。

以下、「アワ歌で元気になる」(宮崎貞行著・文芸社)から引用・要約します。

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「アワ歌」は、一般的に心身を整え健康を取り戻す歌と言われています。また「アワ歌」が自然治癒力を増し、健康を回復させる力があるようです。言語障害の子どもや情緒不安定な子どもに親子で唱和すると、性格が明るくなり、行動が安定してきた、怖気づかなくなったという報告もあります。

また、赤ちゃんに歌って聞かせたところ、すやすやと眠り、ときどき歌をせがまれることもあるそうです。要求にこたえて歌ってやると、しばらくして全身の力が抜けてぐったり状態に寝込んでしまうそうです。


「アワ歌」の歴史は古く、最初の記録は、今から1900年前、第12代景行天皇(ヲシロワケ)に献上されたという「ホツマツタヱ」の中にあります。景行天皇は勇猛なヤマトタケの父で、地方部族を討伐し大和朝廷の版図を拡大した天皇です。

「ホツマツタヱ」(以下「ホツマ伝」)そのものは、およそ6000前にクニトコタチが日本の原型(トコヨクニ)を東北の多賀城あたりに建国したことに始まり、イサナキ、イサナミ以来の統治を経て次第に発展してきたことを回想した歴史書です。

ホツマというのは「素晴らしい真理」という意味で、それを伝承してきた歴史書が「ホツマ伝」です。
その写本は、滋賀県高島市や愛媛県宇和島市の旧家に代々引き継がれていたのが昭和40年代に再発見され、現在、国立公文書館や滋賀県安曇川町の中江藤樹記念館に保管されています。

景行天皇の時代は、関東や九州で反乱が相次いでいたので、天皇は皇子のヤマトタケを度々派遣し、鎮定させようとしました。その上、各地で疫病が流行し、多くの民が病に倒れていました。重い軍役と疫病で、人心は荒廃・沈滞していたのです。気持ちが暗くなると、当然、発する言葉にも力がなくなりますね。

「ホツマ伝」は、こうした国の窮状を救おうと考えた景行天皇の諮問に応じ、オオタタネコが編集し、朝廷に献上されたものです。オオタタネコは、物部氏の神官で、当時の最高の知識人でもありました。

「ホツマ伝」によると、遠くイサナキ、イサナミの命(ミコト)の時代に、民心が緩み、民の言葉が乱れたので、言葉を整えるためこの「アワ歌」を教え、普及させたといいます。当時は、多くの部族が乱立していたので、言葉を統一するという狙いもあったのでしょう。「アワ歌」によってアからワまでの一音、一音をはっきり発音させると、乱れた言葉遣いが整い、心と体の働きまで整えられ、不思議に病人まで健康になっていったと記録されています。

神官オオタタネコは、このイサナキ、イサナミにさかのぼる素晴らしい治政の歴史を思い起こし、歴史から統治の仕方と生活の知恵を学び直すことを教えようとしたのです。その中で、人心を元気づける手軽な手法として「アワ歌」をもう一度復活させ、普及させることを提言したのでした。

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意味は分からずとも、歌うことにより計り知れない力が宿るようです。

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