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2024/2/19 キュンパスで北三陸をめぐる旅

広告やネーミングからして明らかに学生を対象にしていそうな「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス」で、アラフォー独身男性会社員である僕が有給休暇を使って東北地方をひたすら乗り鉄してきた日の記録です。(※このきっぷの購入と使用に年齢制限はありませんが、えきねっとへの会員登録が必須なのでご注意ください)



出発:東京駅から北へ

東京は朝から雨でした。
月曜の朝ではあるものの、大学生は春休みに入ったからか、通勤通学客に旅行客も入り交じりごった返す東京駅。
朝食のために駅弁を買い、改札を抜けて新幹線ホームへ。

北陸新幹線が敦賀まで延伸されたら見られなくなりそうなので撮影しておいた金沢行きの表示。
はやぶさ9号新青森行きへ乗車。

東京駅から東北新幹線に乗り込むのは久しぶりで(いつもケチって大宮から乗るので(笑))、発車20分ほど前に入線した車両が15分ほどで車内清掃を終えて、3分程で乗客を乗せて出発していくそのオペレーションも久々に見ましたが、あまりの素早さには毎度感心してしまいます。

朝食は日本ばし大増のとりめし。

掛け紙
お弁当の中身

普段はコンビニのおにぎりやパンで済ませかねないところですが、今日は旅費を節約しているので駅弁です。
鶏つくね、鶏そぼろ、照り焼き、蒸し鶏と多様な具材が入っていて、ご飯も味付きで、とりめし系の駅弁の中では豪華なほうだと思います。飽きることなく楽しめました。

荒川を渡り新幹線は東京都を出て埼玉県へ。
最近この区間は最高速度が引き上げられたので、130km/hまで加速。
E5系にとっては余裕のある速度域なので、京急の快特や、常磐線の特別快速や、つくばエクスプレスや、京阪神の新快速とは異なる明らかに余裕な走りでした。

そして大宮を出ると次は仙台。
ここからは宇都宮まで最高速度275km/h区間。
ぐんぐんと速度を上げていき、伊奈町で上越新幹線と分岐するあたりでほぼ最高速度へ。
せっかく景色の良い窓側E席をとったのですが、生憎の天候で山々は見えず。晴れた冬の日であれば那須や日光の山が見えたはずだったのですが。
宇都宮を過ぎれば最高速度320km/h区間。2024年2月時点では日本の地上を走る乗り物の中では最速。ただ、宇都宮を過ぎるとすぐに加速を始めるも、前を走るなすの253号に頭を抑えられている状態で270km/h弱での走行が続きます(それでも十分速いけど)。那須塩原で先行列車を追い抜くと勢いをつけて加速!山陽新幹線の最高速度である300km/hを超えて316km/hを記録!

スマホの速度計の表示

個人的に、東北新幹線で郡山より北へ行くのが9年ぶりということもあって久しぶりの体験だったので、余計にテンションが上がってしまいました。やはり速さは正義です。

ちなみに速度やら走行位置やらを詳細に書けるのも、スマホのGPSの速度計と、JR東日本アプリの列車走行位置情報のおかげです。文明の利器を得て失ってしまった楽しみもある反面、こういう新しい楽しみもあるのだから、悪いことばかりでもないものだな、と思います。

こういう位置情報を見ながらどこで追い抜くのか……みたいなことを想像しつつ列車に乗るのが楽しいのです

郡山を過ぎると多少天候に回復の兆しがあり、近くの山であれば見えるように。いや、単に山が近づいてきただけなのかもしれないけれど……などと思っていたら福島駅のあたりでようやく晴れ間が。
この日は南から天気が下り坂になっていくような予報だったので、新幹線で雨雲から逃げていくような感覚でした。

仙台までなら18きっぷで2018年に一度来ているのですが、さらにその北となるとさきほど書いた通り9年ぶり。仙台以北は列車本数が減るので速度も上がり、直線区間では320km/hで飛ばします。

八戸駅で下車:いかめしとせんべい汁を堪能

八戸で下車。青森県自体は4度目の訪問となりますが、八戸駅は初めて降りました。
八戸駅は元々尻内駅という名前で、本来の八戸市街地は本八戸駅のほう。八食センターあたりに行くのが定番のコースのようですが、余裕がなくなるのも嫌なので八戸駅構内で昼食にすることに。

というわけで訪れたのは「いかめしや 烹鱗」。

いかめしとせんべい汁の定食

八戸はイカの水揚げ量が日本一だとか。そして南部せんべいを入れたせんべい汁は八戸市をはじめとする南部地方(青森県の東半分と岩手県の北部にまたがる旧南部藩の所領のこと)の郷土料理です。
せんべい汁はもちもちつるつるで歯ごたえがあって、いかめしのいかは歯ごたえのある身を噛むたびに旨味が出てきておいしかったです。

八戸線へ:北三陸の旅のはじまり

八戸線の車両は新型のキハE130系500番台

八戸からは八戸線へ乗換え。ここから未踏区間である北三陸を攻めていくことに。
八戸駅発車時点では車内は座席がほぼ埋まり少し立ち客が出る程度の乗車率。
車両は新型でキハ40系列のような鈍重さ(だがそれが良い)はなく軽快に走るものの、軌道はローカル線のそれなので、縦揺れと小刻みなジョイント音を響かせながら進みます。

本八戸でかなりの下車がありました。本八戸駅は高架化されていて、車窓からは八戸港のガントリークレーンを遠くに見ることができました。

八戸市内最後の駅である鮫(そのまんま「さめ」と読みます)を過ぎると進行方向左手の車窓に海が見えてきます。ここからしばらくは海岸線沿いを進んでいきます。このあたりはウミネコが有名らしく、そのPRのためか八戸駅の新幹線ホームでもスピーカーからウミネコの鳴き声が流れていましたが、
どうやら冬にはウミネコはいないらしく姿を全く見かけませんでした。

種差海岸駅。ちょうどバス停と海へ下る坂道とが重なる位置に列車が停まったこの風景が印象的だったのでシャッターを切った一枚。
岩手県に入ってしばらく走った種市付近の海岸線を後部運転台から。

陸中中野からは海岸線を離れ山の中を抜けていき、しばらく久慈へ到着。

久慈から三陸鉄道へ

三陸鉄道の36-700形。震災復興の際にクウェートから支援物資として提供された原油を原資に導入された車両で、正面にはクウェートの国章がつけられています。
側面にはクウェートへの感謝のメッセージがアラビア語、英語、日本語で書かれています。

ここからは三陸鉄道線へ乗換。
接続がスムーズなのですぐに乗換できるのはいいものの、ちょっと観光する時間も欲しいような気もするのはわがままですかね(笑)。
ちなみに、岩手県は過去には新幹線で通過したことがあるだけで、ちゃんと訪問するのはこの日が初めてでした。
乗り込んだ三陸鉄道は単行(1両)で、学生さんと旅行客で結構な混雑。八戸線からの乗換では座席を確保できませんでした。

久慈駅の自販機で見つけた北東北限定のHi-Cアップル

喉が渇いたのでホーム上の自販機を見てみたところ、北東北限定でHi-Cりんごが復刻されていたのでつい買ってしまいました。懐かしいですね(1999年にQooと入れ替わる形で一部を除いて市場から撤退したそうです)。

三陸鉄道は各駅で観光案内の車内アナウンスが行われていたり、景色の良いところでは減速したりと、定期列車でも観光客向けの対応をしてくれます。

安家川橋梁からの海の眺め
大沢橋梁から国道の橋を見上げる
大沢橋梁からの海の眺め

三陸鉄道のほとんどの区間は鉄建公団AB線であるため高規格です。久慈から普代までは国鉄久慈線として開業した区間ですが、その先は国鉄時代に開業することはありませんでした。普代を出ると長大トンネルの連続で、確かに金かかってそうだなー、そりゃ難工事になるよな、と。
途中の新田老駅は復興に伴う再開発で新設された駅とのことで、隣の田老駅とはかなり駅間が近接しています。普代〜田老間は駅間距離が長いところが多い中ここだけちょっと変わっています。

田老から宮古までは国鉄宮古線として開業した区間です。宮古線と久慈線は第1次特定地方交通線として指定され廃止を検討され、それ以外の区間は開業前に工事凍結となったのですが、これをまとめて引き受けた第三セクターが三陸鉄道、というわけなのです。

三陸鉄道は東日本大震災からの復旧で、山田線の宮古〜釜石間も引き受けたため、久慈から宮古、釜石を経て盛(さかり)に至る日本一長い第三セクター線となりました。宮古に着いても路線はまだまだ続くのですが、この先を釜石・盛方面へ進むと日帰りが怪しくなってくるので、ここからは山田線で盛岡へ向かいます。

宮古から山田線へ

山田線のキハ110系。客用ドアがプラグドアになっている初期の100番台です。

山田線は本数が少ないのですが、今回はうまいこと宮古で接続がとれるのでこちらを選択しました(確かそれを狙ったダイヤになってたはず)。
ただ、万が一乗換が上手くいかないと大変なことになるのであらかじめ山田線と並行しているバスの時間も調べておきました。
並行する国道106号を経由するバス(106急行・特急バス)のほうが所要時間が短いので、山田線の1時間後に出る盛岡行きの特急バスが山田線の10分後に盛岡に着くためリカバリーできるという事実に驚いたとともに、そりゃ山田線の利用者は減るよな、と頷いてしまったのでした。

幸いにしてそのリカバリー用のプランは使わずに済み、無事山田線に乗換。山田線といいながら山田町を通らないのは、先ほども書いた通り宮古〜釜石間を三陸鉄道に移管したため。それでも路線名は変わらず残っています。車両はキハ110系2両。地元の人も乗ってましたが、どうも旅行者のほうが多そうで、空席もちらほらとある程度の混雑率でした。

途中の茂市駅はかつて岩泉線が分岐していたところで、構内には岩泉線ホームの駅名標がまだ残っているのが見えました(写真はありません)。そして腹帯(はらたい)から先は山間部に入ります。途中、平津戸駅などの廃駅がある区間では駅間距離が開いていて、特に区界(くざかい)〜上米内(かみよない)間は廃駅が2つ(大志田駅と浅岸駅)もあるので駅間距離が25km以上あったりします。

Google mapのルート検索で区界~上米内を検索してみた時の図。これは鉄道でのルート。ちなみにこの駅間はJR東日本管内在来線では最長。
区界~上米内間の徒歩ルート。

間違ってもこの区間を一駅歩こうなんて思ってはいけませんね。もはや登山です、それは。
この区間は峠越えにあたるので標高が高く、この道中ほとんど見なかった雪が結構積もってました。そしてここを通過する頃には日が落ちていたのですが、外は雪明かり以外に何も見えず。ここで運転見合わせとかはやめてほしいですね……無事抜けられましたけど。

山田線は沿線の林業と鉱業に支えられてたようなのですが、いずれも下火になり、後からできた国道のバイパスのほうがカーブが少なく自家用車やバスのほうが便利なので鉄道が衰退する……というよくある流れのようです。仮に山田線がなくなったとしても釜石線があるので旅行者的にもそこまで困らないのがまたなんともしがたいところです。鉄オタとしては残ってほしいのですが。

盛岡駅:実は初訪問となる岩手県

というわけで山田線を乗り通して盛岡初訪問。
前にも書いた通り、岩手県は過去に新幹線で通過するばかりで、この旅で初めて訪問したのですが、盛岡で初めて改札外に出ました。八戸からずっと乗り継ぎが良すぎて駅周辺を歩く余裕がなかったのです。乗り鉄旅では割とありがちです。

盛岡と聞いて思いつくのが盛岡冷麺なので、観光客的発想でとりあえず有名店行っとけってことで、駅前のぴょんぴょん舎へ(都内にもあるよ、とか言ってはいけません)。

盛岡冷麺。梨が入っていました。

さっと食べたいので盛岡冷麺大盛を単品で。
つるつるとしたのどごしとしっかりとした歯ごたえの麺が美味しかったです。初めてなので中辛にしておきましたが思いの外辛くなかったので、次はもう少し辛さレベルを上げてもいいかもしれないと思いました(次はじゃじゃ麺食べたい気もしますが)。

帰りの新幹線で晩酌。

そして、ここでは控えめにしておいて、宮古の地酒男山のワンカップと、三陸のサバを使ったサバチップを買って帰りの新幹線の中で晩酌(ちなみにキュンパス特典で10%引きです)。

行きは乗り遅れが嫌だったので見学しなかったE5系はやぶさとE6系こまちの連結作業もちゃんと見学しました(動画を撮りましたが他の利用客の映り込みが激しいので公開はなしで)。個人的には下りの切り離しより上りの連結のほうがロマンがあると思うんですよね。合体ロボみたいで(個人の感想です)

日帰り乗り鉄旅という鉄オタならではの使い方をしましたが、乗ったことのない区間(八戸線、三陸鉄道久慈〜宮古間、山田線)と降りたことのない駅(八戸、盛岡)とを両方楽しめたので個人的には満足のいく旅でした。
八戸も盛岡も滞在時間が1時間半もなかったので、次はもっとゆっくり観光したいですね。
あと、三陸海岸はこれで北半分を見たことになるので、次は南側を攻めたいところ。気仙沼とか。

まとめ:この日の旅程

東京 8:40発
東北新幹線はやぶさ9号 新青森行き
八戸 11:26発 12:24発
八戸線 普通 久慈行き
久慈 14:09着 14:15発
三陸鉄道リアス線 普通 宮古行き
宮古 15:49着 15:54発
山田線 普通  盛岡行き
盛岡 18:21着 19:50発
東北新幹線はやぶさ46号 東京行き
東京 22:04着

キュンパスを使うプランを探っていたところ、八戸と盛岡で食事の時間をとりつつ、他の乗継は10分以内で、前後の新幹線も始発や最終ではない素晴らしい乗継を見つけてしまったのがこの旅のきっかけでした。
東京都区内〜八戸〜久慈の運賃だけでも10340円なので、10000円のキュンパスの元は取ったことになります。平日限定なのと14日前からじゃないと買えないのは弱点ですが、1日単位で買えるのと新幹線も乗れるのは大きいので(指定席は2回まで)、ちゃんと計画を立てれば使いやすいきっぷだと思います。利用期間は3月14日までの平日なので、2月29日までなら購入できます。詳細は以下のリンクを。https://www.jreast.co.jp/heijitsutabi/kyunpass/

おまけ:自分用に買ったお土産

八戸駅周辺で、最近都内のアンテナショップで話題になっていた「チョコQ助」と、それによく似た「ちょこちゃん」を見かけたので二つとも買ってみました。割れた無選別の南部せんべいにチョコレートをかけたお菓子です。

こちらは白いチョコQ助。八戸駅前のユートリーにあるお土産さんで入手。しんぼりの製品です。
そしてこちらは八戸駅のNEW DAYSで入手したちょこちゃん。小松製菓の製品です。

どちらも似たような製品ですが、チョコQ助は南部せんべいの塩味がやや強くしっかりとした歯ごたえがあり、ちょこちゃんのほうはより軽い歯ざわりで、南部せんべいの作り方にちょっと違いがあるようです。どちらも「甘じょっぱい」系のチョコ菓子で、ついつい手が伸びるやつですが、まあお察しの通りカロリーは高いので食べ過ぎにはご注意を。
ちなみにもう一社「チョコせん」(石橋煎餅)もあるらしく、チョコ掛け南部せんべいは三社の三つ巴の戦いになっているようです。

というわけで、ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました!


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