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レイヴェイ:Laufey ”Bewitched"

11月28日の米国の朝、TODAY にNorah Jones と新曲のクリスマスソングをライブで演奏したのがアイスランドのジャズ・シンガーにしてシンガー・ソングライターの Laufey だった。

ノラ・ジョーンズのハスキーな声とピアノに、レイヴェイの深い豊かな声とギター演奏がいいコンビネーションだ。ツリーや大きなリースが飾られたスタジオの誂え、そして二人の衣装の色もクリスマスカラーに合っている。ことにアップになったときの背景とマッチして煌びやかで美しい。

日本人の私にはアジア系の顔立ちや表情も親しみがひときわだ。

レイヴェイのギターは、チェリーカラーでドットのポジションマークのギブソンのセミアコ、たぶん ES-335 だろうか。愛用なのだろう他のビデオクリップでも使っている。

1999年生まれというから、まだ24歳、2021年にデビューEPをリリース、2022年に1枚目のアルバム "Everything I know About Love"、今年に入って、アイスランドシンフォニーオーケストラとの共演、"A Night at the Symphony”をリリースし、ついこの間の9月、 2枚目のフルアルバム "Bewitched" をリリースしたばかりだ。

人気は瞬く間に広がっている。Bewitchedはグラミーにノミネートされたどそうだ。

YouTube で KEXP のライブ演奏の動画を視聴できる。このアルバムから、4曲 "From the Start," "Promise," "Bewitched," "Valentine"を披露していて、素晴らしい演奏だ。微妙なビブラートが心を揺さぶる。

演奏は16分まで、後半12分は大きな目がキラキラ輝く笑顔でのインタビューで、彼女の魅力をたっぷりと楽しめる(*1)。

Kind of a hope I was new, you know, I grew up listening to my records as well and there was a sort of magic in it and I think I wanna to preserve it also make something new out of it … 

Laufey - Full Performance (Live at KEXP)
dictation by 私

アルバム "Bewitched" は Love Album, ジャズやクラシックの自身のルーツに立ち返り、それが現代のポピュラー音楽となるように作ったということだ。若い人が特にこれらの曲をジャズのスタンダードのようだと評価してくれるのはとても嬉しく、さらには、これらの曲は自分自身の物語や個人的なエピソードでもあり、そのようなことすべてが "I'm really, really excited about it." ということだ。

"California and Me" という曲が 収録されているが、このアルバムの曲はカルフォルニアで書いたとのことだ。そこで初めて自分のピアノ baby grand piano を買い、 ピアノは自身の作曲に大きく影響を与えた、とも言っている。

そう、実はこのアルバム、ジャズのスタンダードをしっとりと歌ったアルバムのように聞こえて、じつは "Misty" を除いた全曲が彼女のオリジナルだ。

このようなことができるミュージシャンはなかなかいないと思う。


レイヴェイには双子の姉妹の "Júnía" (ヨニア)がいて、彼女の creative director ということだ。魅力的なビデオクリップはヨニアによるところも
大きいし、TikTokでの人気もきっとそうなのだろう。

二人の父親がアイスランド人、母親は中国の広州出身のバイオリニストということで、レイヴェイはチェロも弾くし、ヨニアはバイオリンを弾く。

二人の共演は"Live from Home"と題された一連の YouTube 動画の "From the Start" で視聴できる。

Bewitched の中でポップ色が強い "Lovesick"も、"Live from Home"ではアコースティックギター一本で弾き語りで魅せる。

大きい丸いボディでサンバーストのギブソンのアコースティックギターが映える。こういった楽器も古き良きジャズやポップスの暖かい雰囲気で楽曲と歌声に彩を添える。ひょっとしたら今の人には新しく感じられるかもしれない。


近年、サマラ・ジョイや、ヴェロニカ・スウィフトなど、素晴らしい歌唱力と声を持つ若手の女性ジャズ・ボーカルが彗星のように現れているが、レイヴェイもまたその一人だが、このようなスタイルでしかもオリジナルの曲を書いて披露するところが数多のミュージシャンと一味も二味も違う。

これからの展開が非常に楽しみなミュージシャンの一人だ。

(2023/12/16 追記)
12/13に、NPR の Tiny Desk Concert に出演した映像が公開された。4人の弦の室内楽を従えてチャーミングな演奏が楽しめる。



■追補

ノラ・ジョーンズがデビューしたときの衝撃に近い、という感想を持った人も多いのではないだろうか。もちろん、声の質や歌いっぷりや曲調など異なるが、ジャズのスタンダードやクラシックのテイストをベースに現代の音楽シーンにすっと入る新しいポップな歌を自作自演で、彗星のように現れた。

ノラ・ジョーンズも、レイヴェイに入れ込んでいる一人で、つい最近に2曲入りのクリスマスソングをリリースした。Better Than Snow は、冒頭に貼ったTODAYで演奏も4日間で3万超と人気だが、Spotify でもすでに100万回再生を超えている。

Norah Jones の Pod Cast Playing Along にも出演、1時間ちょい、たっぷりと二人の話と演奏を聴くことができる。


■レイヴェイのオフィシャルサイト


■注記

(*1) 全体的には、なかなか面白いインタビューで、彼女の音楽への思いや、Bewitched について、video clip について、新しいシングルについて、オーケストラとの共演について、余すところなく語っていて興味深い。

全体的に言いたいことはしっかり伝わって来るものの、インタビュアーが、amazing, awesome, cool, 連発でちょっとアレで気になるし、レイヴェイのしゃべりが発散気味で聴きとりにくい。口癖なのだろう "kind of" が多い。。

たとえば、Bewitched について語る、18'24" から 19'40"ほどを聞き取りしてみると次のような感じだ。(*)の部分は、私の力不足で何度聴いても聞き取れない部分だ。

Bewitched is um… it's a love album, and um… yeah, it's kind of I think I really made return to my Jazz and classical roots, everything (*), now couple of recordings, jazz standard, and (*) recorded live with Jazz Quartet, and trios (*) and you know two songs recorded with Philharmonia Orchestra, so, my first album was kind album tried to, .. cause I really show how people take on to Jazzy sound mixing a little bit stepping on my toes on to open more modern production, stuff like that I love that so much I found after the album was actually that um,, stuff that people especially young people seems really like the songs were, you know, most like jazz standards or, um.. literally songs recorded with symphony orchestra which is so good because that comes snapshot(*) to me, what I enjoyed most so I really (*) to that for this album, it's little more matured little darker, and um … yeah, but still, you know, story of my life, they are personal kind of little anecdotes, and yeah, I'm really, really excited about it.

Laufey - Full Performance (Live at KEXP) 18:23 - 
dictation by 私

他にも怪しいところ満載だが、まぁ、勘弁してほしい。


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